北の荒地の下に残された地下研究所。 ドクターゲロが殺されてしまった以上、ここもいずれは狙われてしまうかもしれない。 わたしは、装置の中に浮かぶ幼生のセルを保管するための準備に取りかかった。万が一に備え、カプセルにしまい元の次元へ持ち帰るためだ。 こんなにもわたしの前から、希望が消えて行くなんて…なぜこれ程わたしから奪って行くのか… こんな運命が許せなかった。 「次は過去で再会しよう」 ドクターの最期の言葉…悔しくて涙が出てくる。 今のわたしに出来るのは、この小さなセルを守ること、そしてあのセルが完全体となるよう手助けをすること… でも気がかりなこともある。手助けすると言っても、後はあのセル次第。ドクターへの恩も何もないあんな者に手を貸す価値などあるのか… 考えても先が見えない不安ばかりだった。 そうやって薄暗い研究室に一人作業を行っていたその時、何者かが近づいて来るのを感じた。 誰か来る…この場所に気付いた…? 降りてきた影から姿が見えた。トランクスだ。意外な訪問者に無意識にも警戒心が湧く。 何故ここに…?まさか彼も未来から来たというの…? トランクスと共に、クリリンも降りてきた。ブルマが話していたのは、このトランクスだったのね… 「こんなところに研究所があったなんてな…ドクターゲロって奴も相当人造人間の研究に力いれてたんだな…」 大きなコンピュータ装置を前に、クリリンがトランクスに言う。 「見て下さい、これ…きっとあのセルになるんですよ…」 液体装置に眠る幼生のセルを見つめるトランクス。見るもの全てに、多少ならぬ震撼を覚える二人。 「よーし、やろうぜ」 クリリンが構えたその時だ。 「…そこまでよ」 「!? 誰だ!?」 真っ先に気付いたのは、トランクスだった。 「破壊はさせない。断るなら…あなたたち死ぬ事になるわ」 たちまちその場の空気が凍りついた。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |