Story:01 置き去りの未来-1-



ここはカプセルコーポレーション。
庭先では、トランクスのためにブルマがタイムマシンの整備をしていた。

「ふぅ…あともう少しで燃料も満タンになりそうね」

そう言って家の前に戻りドアを開けようとした時、向こう側にたたずむ一人の女性に気付いた。もちろんわたしだ。意を決してここへたどり着き、しばらく様子を見ていた時だった。

「…?誰?」

わたしを知らない彼女は、特に警戒もせず近づいてきた。彼女一人ならすぐにでも、乗り込めそうだった。



「こんにちは。突然で悪いけど、あのタイムマシン貸してもらうわ」

「え…ち、ちょっと!」

戸惑うブルマをよそにタイムマシンへとわたしは歩いた。彼女に背中を向けた時、突然驚いたようなセリフが聞こえた。

「あ、あなたまさか、ドクターゲロの…!?」

どうやら背中にあるレッドリボンのマークが目に入ったらしい。でもわたしには関係ない。タイムマシンにさえ乗れればいいのだから。

「もめ事は起こしたくないの。あなたに危害を加えるつもりもないし、終わればすぐ返すわ」

「ま、待ちなさいよ!」

そのままタイムマシンへと向かうわたしを、無意味にも言葉で静止しようとするブルマ。が、その時ブルマの後ろから誰かが現れた。

「誰だ!?そのマーク、人造人間か!?」

その声はトランクス…?


「どういうつもりか知らないが、タイムマシンを渡すわけにはいかない!」

威勢良く彼はわたしの前に立ちはだかった。

「奪うのではなく借りるだけよ。時間が無いの、邪魔をしないで」

「そんなの信用できるか!」

トランクスは剣を構え、すぐ様わたしに向かってきた。

「気の早いオトコね…」

振りかざされた刃をそのまま手で受け止める。

「何…!?」

驚く彼に、右足を蹴り込んだ。そのまま地面に叩き落とす。差は歴然。わたしに敵うはずもない。

「くっ…!」

そんなトランクスの様子にブルマは必死で彼の名を呼ぶ。

「母さんは下がってて」


母親を気遣うトランクスにわたしは静かに警告した。

「今のあなたにわたしは倒せないわ。これ以上は体力のムダよ」

トランクスから奪った剣を投げ返す。円を描き、彼の目の前で地面に突き刺さった。その剣を見つめ、トランクスは更に闘志を高めるように答える。

「…そんなのやってみなきゃ分からない!」

超サイヤ人になり、再びわたしに立ち向かってきた。あきらめの悪い…面倒なことになるのはゴメンだわ。


やむを得ないか…


タイムマシンのそばから離れ、上空へ飛ぶわたしをトランクスも追いかける。

「出来れば避けたいところだったけど、仕方ないわね」

そう言いわたしは、一瞬にしてトランクスの懐に入った。

「しばらく眠ってもらうわよ」

彼の腹部へ一発殴りこんだ後、背後へ回り、握った両腕を振りかざした。勢いよく地面に落とされ、トランクスは超サイヤ人から元の姿に戻ってしまった。
倒れたまま動かないトランクス。

「ト、トランクス…!?まさか死んでないわよね…!?」

倒れた息子を目の前に、恐る恐る近づこうとするブルマ。



殺した訳じゃない。気絶させただけ。とにかく今は邪魔をされたくない…
そんな面持ちでタイムマシンへと降りて行くわたしの目先には、泣きそうな目で息子を心配するブルマがの様子が見える。

まるでさっきのわたし…

複雑な感情が湧く。

何故か苛立ってきた。



そんな彼女らを振り切る様に、タイムマシンへと乗り込もうとしたその時だった。突如後ろに強力な気を感じた。

一瞬にして目の前に光が広がった。

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