ここはカプセルコーポレーション。 庭先では、トランクスのためにブルマがタイムマシンの整備をしていた。 「ふぅ…あともう少しで燃料も満タンになりそうね」 そう言って家の前に戻りドアを開けようとした時、向こう側にたたずむ一人の女性に気付いた。もちろんわたしだ。意を決してここへたどり着き、しばらく様子を見ていた時だった。 「…?誰?」 わたしを知らない彼女は、特に警戒もせず近づいてきた。彼女一人ならすぐにでも、乗り込めそうだった。 「こんにちは。突然で悪いけど、あのタイムマシン貸してもらうわ」 「え…ち、ちょっと!」 戸惑うブルマをよそにタイムマシンへとわたしは歩いた。彼女に背中を向けた時、突然驚いたようなセリフが聞こえた。 「あ、あなたまさか、ドクターゲロの…!?」 どうやら背中にあるレッドリボンのマークが目に入ったらしい。でもわたしには関係ない。タイムマシンにさえ乗れればいいのだから。 「もめ事は起こしたくないの。あなたに危害を加えるつもりもないし、終わればすぐ返すわ」 「ま、待ちなさいよ!」 そのままタイムマシンへと向かうわたしを、無意味にも言葉で静止しようとするブルマ。が、その時ブルマの後ろから誰かが現れた。 「誰だ!?そのマーク、人造人間か!?」 その声はトランクス…? 「どういうつもりか知らないが、タイムマシンを渡すわけにはいかない!」 威勢良く彼はわたしの前に立ちはだかった。 「奪うのではなく借りるだけよ。時間が無いの、邪魔をしないで」 「そんなの信用できるか!」 トランクスは剣を構え、すぐ様わたしに向かってきた。 「気の早いオトコね…」 振りかざされた刃をそのまま手で受け止める。 「何…!?」 驚く彼に、右足を蹴り込んだ。そのまま地面に叩き落とす。差は歴然。わたしに敵うはずもない。 「くっ…!」 そんなトランクスの様子にブルマは必死で彼の名を呼ぶ。 「母さんは下がってて」 母親を気遣うトランクスにわたしは静かに警告した。 「今のあなたにわたしは倒せないわ。これ以上は体力のムダよ」 トランクスから奪った剣を投げ返す。円を描き、彼の目の前で地面に突き刺さった。その剣を見つめ、トランクスは更に闘志を高めるように答える。 「…そんなのやってみなきゃ分からない!」 超サイヤ人になり、再びわたしに立ち向かってきた。あきらめの悪い…面倒なことになるのはゴメンだわ。 やむを得ないか… タイムマシンのそばから離れ、上空へ飛ぶわたしをトランクスも追いかける。 「出来れば避けたいところだったけど、仕方ないわね」 そう言いわたしは、一瞬にしてトランクスの懐に入った。 「しばらく眠ってもらうわよ」 彼の腹部へ一発殴りこんだ後、背後へ回り、握った両腕を振りかざした。勢いよく地面に落とされ、トランクスは超サイヤ人から元の姿に戻ってしまった。 倒れたまま動かないトランクス。 「ト、トランクス…!?まさか死んでないわよね…!?」 倒れた息子を目の前に、恐る恐る近づこうとするブルマ。 殺した訳じゃない。気絶させただけ。とにかく今は邪魔をされたくない… そんな面持ちでタイムマシンへと降りて行くわたしの目先には、泣きそうな目で息子を心配するブルマがの様子が見える。 まるでさっきのわたし… 複雑な感情が湧く。 何故か苛立ってきた。 そんな彼女らを振り切る様に、タイムマシンへと乗り込もうとしたその時だった。突如後ろに強力な気を感じた。 一瞬にして目の前に光が広がった。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |