広い海に浮かぶ小さな島。 赤い屋根の家が見える。 ここから見る限りは、特に何の様子も見受けられない。わたしは島へと降り立った。 静かに家の扉へ近づいてみると、誰かがこちらへ気づいた。どうやらピッコロのようだ。 「こんにちは」 「お前は…あの時の…!?一体何の用だ…!」 突然現れた上、平然と挨拶をするわたしに、ピッコロは驚きつつも警戒心をあらわにし険しい顔で答える。 「安心して、ちょっと尋ねたいことがあって来ただけよ。17号と18号をずっと探してるんだけど、ここに立ち寄ってないかしら」 「また奴らのことか…ここへは来ていない。さっさと立ち去るんだな」 「そう…少しここで待たせてもらっていい?」 警戒するピッコロをよそに、わたしはそのまま部屋へ入った。 「ん…誰だ?」 中で寝ていたクリリンたちが目を覚ます。ピッコロはただ戸惑うしかない様子だ。 「どうなってやがるんだ…」 そんな彼らにお構いなしと、わたしはその場に座り込み目の前のテレビ画面を見つめていた。セルに関する相変わらずの報道だ。 それなりにエネルギーは集められたのかしら…そう思いながらニュースを観ていた時だった。 外で音が聞こえた。 ピッコロもそれに気付き、窓際へと駆け寄る。 「よう、孫悟空はいるかな」 聞き覚えのある声。 そっと扉から外をのぞいてみると、やはり17号と18号が… いやもう一人いる。 大柄なその男の胸にはレッドリボンのマークが。あの男どこかで見た顔… 「ここには孫悟空はいない…!とっとと帰るんだな」 度重なる厄介な客にピッコロはどこか焦っているようにも見える。 「ならどこにいるのか教えてもらおう。でなければ力ずくでも吐かせるつもりだが」 「…やってみるんだな。向こうに誰もいない島がある」 どうやら別の島で戦うつもりのようだ。隙を見て17号と18号を連れて行きたいところだけど、邪魔が入る可能性が大きいわね… わたしはしばらく様子を見るため彼らの後ろをついて行くことにした。 すると、家から出てきたわたしをピッコロが睨んだ。 「貴様はどこまで付いてくるつもりだ」 「わたしが用があるのは人造人間よ、戦うのなら終わるのを待つだけ。隣りで見ているわ」 「わからん…気を抜けんヤツだ…」 淡々と話すわたしにあくまでピッコロは用心深い面持ちだった。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |