ピッコロたちが飛び立つ後を追う。 ふと、あの大柄の人造人間から視線を感じた。17号たちとはどこか違う雰囲気…わたしに何か気付いているようにも見える。しばらく目が合うが、その目はどちらかと言えば警戒の眼差しだ。その目にわたしは無意識にも気を構え始めていた。 さすがにたやすくことが運ぶ雰囲気ではなさそうだ。 別の島へ降り立ったピッコロたち。 どうやら戦うのは17号とピッコロだけのようだ。これはチャンスかもしれない。18号だけでもまず連れていければ… だが隣りにいる、あの大柄な人造人間の行動が読めない。得体の知れない人造人間とは言え、17号たち以前の旧式には違いない。 だがどれほどの強さなのか… そうこう考えていると、その男がこちらを向きわたしに話しかけてきた。 「お前は何者だ?ピッコロの仲間か」 警戒気味なのは変わらない。ここは穏便に行くのが一番だが、この男に通用するかどうか。 「…違うわ。どちらかと言えばあなたたちの仲間かもしれないわね」 「仲間…?どういう意味だ」 「わたしもドクターゲロの人造人間だから」 「へぇ、あんたも人造人間なのかい。初めてみるタイプだね」 そばにいた18号が興味深そうに反応する。 「わたしはバイオテクノロジーでもって改造された人間なの」 「バイオテクノロジー?あいつそんなことも研究してたんだ…」 妙な話だとも言いたげな18号。隣の大男は表情を変えず、じっとわたしの話を聞いている。 「でもこんなところで会えるとは思わなかったわ。実は18号、あなたと17号を探していたの」 「わたしたちを?」 「ええ、ぜひ協力してもらいたいことがあって。よければあなただけでも来てくれると嬉しいわ」 当たり障りなく話したつもりではあった。が、やはりそう簡単にはいかない。18号は意外にも用心深かった。 「悪いけど、急に協力しろだなんて言われても信用出来ないね。一体どういうことか話すのが先だろ?」 さて…どこまで話すべきか。そのまま話せば抵抗されるのは必至。ならば上手く口実を作るしかない。 「…確かにそうね。実はわたし自身人造人間を研究しているの。あなたたちのデータもぜひ参考にしたいのよ」 「あんたも研究を?まさか、ドクターゲロの味方じゃないだろうね」 さすがに鋭い。でもこのまま疑われる訳にはいかない。わたしは一つ取引を持ちかけることにした。 「彼は今となっては過去の人間よ。関係ないわ。そうね…協力してくれる代わりに、あなたに埋め込まれてる緊急停止回路を取り外すというのはどうかしら」 すると、18号はわたしの話に興味を示し始めた。 「そんなこと出来るのか?」 「ええ、それくらいならすぐ出来るわ」 18号は何かを考えるような面持ちでわたしを見つめている。わたしを信用して良いものか…そう考えているのだろう。 わたしは話を続けた。 「緊急停止用のコントローラーは正直言って構造は簡単なのよ。今は良くてもいつ誰に停止させられるかわからないわよ。あなたたち、孫悟空を探しているのでしょう?その男と関係があるカプセルコーポレーションの存在も忘れない方がいいわ」 「なるほど…さすがにまた止められるのはごめんだね。あんたいろいろ詳しいようだし、そういう事なら手伝ってやるよ」 どうやら彼女は納得したようだ。あともう少しでセルの元へ連れて行ける。そう確信した時だった。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |