海上を飛ばすわたしに激しく巨大な気が幾度となく降りかかる。 これ程の大きな気を感じたのは初めてだ。しかもこの気はどう考えてもベジータの気。 セルは…一体どうなったの…!? もちろんもう一つ感じる気こそセルのものだが、この差はどうにも信じ難い。 次第に彼らがいると思われる島が見えてきた。徐々に近付くその最中、前を飛んでいたトランクスが上空で立ち止まった。 な...何…? 胸騒ぎがおさまらないわたしは、彼の些細な行動にさえも過剰に反応してしまう。 「…お前は、セルを完全体にさせようとしているのか?」 こちらへ振り向きもせず話しかけるトランクス。 わたしは何も答えない。何かを思案するように話す彼に無意識に構え始めていた。彼らはあくまで完全体を阻止しに来たのだろう。話すつもりもない。 「セルは、父さんが倒すかもしれない」 ____!? その言葉に、胸騒ぎの糸が切れた。 「な、…!」 思わず言葉が詰まる。 まさか…ベジータはセルの上を行くとでもいうの…!? 目の前の島では爆発が起こる。戦闘はまだ続いているようだ。わたしはとっさにその場所へと急いだ。 そんなはずはないわ…17号を吸収したセルを超える者など存在するはずがないのに…! が…わたしが目にした光景はそれを覆すものだった。 セルは息を切らしながら海岸から這い上がり、ようやく立ち上がる。彼の表情は、まるで絶望に満ちたかのように険しいものだった。 「こ、こんなヤツ如きに…!!」 「これ程まで差がついてしまったとはな。ぶっ殺すのがバカバカしくなってきたぜ」 そう吐き捨てたベジータは容赦なくセルを蹴り付ける。セルは全くもって力も及ばず、されるがままにして岩山と共に崩れ落ちていく。 わたしは只々その状況に目を疑うばかりだ。 こ、こんなはずは… わたしはどうすれば… ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |