16号たちを前に飛び出した自分自身の行動を思い出す。既に今のわたしに手出しできるはずがない。だが、このまま黙って見ているわけにもいかなかった。身の危険などもうどうでもいい。ただ… セルを守らなければならない、そんな衝動に駆られた。 立ち上がろうとするセルに、再び攻撃を仕掛けようとベジータが歩み寄ったその瞬間__ 「ベジータ!!」 突然上空から聞こえてきたその叫び声に、その場にいた二人が反応する。セルの前に急降下し、彼を守るには小さ過ぎるその体でわたしは両腕を広げ立ちはだかった。 「そこまでにして…!」 「何だ、誰だ貴様」 突如現れたわたしに、ベジータは気分を害したような顔つきだ。 「今の状況では、あなたが紛れもなく上だわ。期待外れだと言うのなら…彼を、セルを完全体にさせて」 「ほう…セルにもお仲間がいたか。しかも女とはな。こんな仲間が来たところで状況が変わるとは思えんが」 わたしはそのまま話を続ける。 「力の差があり過ぎては面白くないのでしょう?完全体にさえなれば、それこそあなたの期待以上に答えてあげられるわ」 慎重に言葉を選びつつ、わたしはベジータを説得しようと考えていた。 「○○○何をしている、お前までやられるぞ…!」 セルはわたしに離れるよう促したが、今はそういうことなど考えていられない。目の前に立ち尽くすベジータは、しばらく何かを考えている様子だ。 「何だ…完全体にでもなればこのオレに負けんとでも言いたいのか?」 ベジータのその言葉に、わたしは思わずセルの顔を見上げた。 「そうよね…セル」 懸命に見つめるわたしの視線から何かを察したのか、セルはベジータの問いに答え始めた。 「ああ…その通りだ。完全体になれば全てにおいてパーフェクトな存在になる…コンピュータはそう答えた…!」 「全てにおいてだと?」 どうやらベジータは何かしら反応を示し始めたらしい。 「お前はサイヤ人…戦闘を好むお前こそ、真の力を得た私と闘いたいとは思わないか」 セルの話に納得しながらも、可能性をひたすら願う。わたしは息を殺すようにベジータの様子をうかがっていた。 …すると。 ベジータは含み笑いしつつ、好転とも取れる言葉を返してきた。 「ふふ…さすがにサイヤ人のことが分かっているな。いいだろう、貴様らのその罠にかかってやる。完全体とやらになるがいい」 「べ、ベジータ…!?」 思わず言葉が出た。願っていたとはいえ、まさかの展開に気持ちが追いつかない。 「○○○行くぞ…!」 立ち尽くすわたしの腕をつかみ、セルはその場を立ち去ろうと飛び立った。 が、その行く先を阻む者が。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |