Prologue: プロローグ-2-



でもその頃のわたしは、そんなことも知らず一人久しく街へ出ていた。
数日前の人造人間2体の正常な起動に、どことなく安心感を抱いていた。
この日はふと気晴らしをしたくて、珍しくドクターから離れた。

そう、そんな時だった。
あの時の胸騒ぎ…

なぜか急に焦燥感に駆られ、わたしはドクターの研究所へ向かい上空を急ぎ飛ばした。



しばらくして研究所へたどり着いた時、壊された扉が目に入り嫌な予感が走った。

こ、これは…

急いで中へ駆け込み、辺りを見回す。無残にも全てのものが破壊されていた。

突如凄絶な感情が胸を突き刺した。まさかドクターの身に何かが起きた…!?

「ドクター、いるんですか!?ドクター!?」

叫びながらわたしは必死にガレキを避け、探しまわった。

まさか…まさか、ドクター…!?


すると、かすかに彼の声が。

「○○○…ここだ…」

「ドクター!?」

声の方向を頼りに必死でガレキを掘り起こす。そのガレキの中から出てきた彼の姿に、わたしの心は張り裂けた。



そこに現れたのは、ドクターの頭…
首から飛び出た配線からは、火花が派手に散っている。

突然の状況に何も言葉が出なかった。わたしは震える手でその顔を抱き上げた。


混乱を隠せずにいるわたしを見つつ、ドクターは小さく言葉を漏らした。

「くっ…あいつらめ…好き放題やりおって…!」

「あいつら…?まさか…」

17号と18号がやったというの?

「そう…17号と18号だ。あの二人…従順な人造人間を装っていたのだ。制御コントローラーも壊された…」

「大丈夫ですドクター、わたしが造ります!それよりも、あなたをどうにかしなければ…」


今にも爆発を起こしそうなドクターの頭。まるで時限爆弾でも抱えているかのようだった。彼には時間がない。早く修理を施さなければ…

が、焦るわたしをよそにドクターの言葉は否定的だった。

「いや…今となってはもう遅い。地下研究所も全て破壊されてしまった…やつらを止めたとしても、肝心な研究材料が無くなっては意味がない…新しい人造人間の誕生も…何もかも失ってしまった」


絶望的だった。
全てはドクターのために、そしてあの人造人間を造り出すために尽くしてきたのに。

どうしたらいいのか…
わたしには何が出来るのか…

「わたしが研究所を離れたせいで…」

ここで全て失ってしまうのかと、そればかりが頭をよぎる。

- 2 -



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