でもその頃のわたしは、そんなことも知らず一人久しく街へ出ていた。 数日前の人造人間2体の正常な起動に、どことなく安心感を抱いていた。 この日はふと気晴らしをしたくて、珍しくドクターから離れた。 そう、そんな時だった。 あの時の胸騒ぎ… なぜか急に焦燥感に駆られ、わたしはドクターの研究所へ向かい上空を急ぎ飛ばした。 しばらくして研究所へたどり着いた時、壊された扉が目に入り嫌な予感が走った。 こ、これは… 急いで中へ駆け込み、辺りを見回す。無残にも全てのものが破壊されていた。 突如凄絶な感情が胸を突き刺した。まさかドクターの身に何かが起きた…!? 「ドクター、いるんですか!?ドクター!?」 叫びながらわたしは必死にガレキを避け、探しまわった。 まさか…まさか、ドクター…!? すると、かすかに彼の声が。 「○○○…ここだ…」 「ドクター!?」 声の方向を頼りに必死でガレキを掘り起こす。そのガレキの中から出てきた彼の姿に、わたしの心は張り裂けた。 そこに現れたのは、ドクターの頭… 首から飛び出た配線からは、火花が派手に散っている。 突然の状況に何も言葉が出なかった。わたしは震える手でその顔を抱き上げた。 混乱を隠せずにいるわたしを見つつ、ドクターは小さく言葉を漏らした。 「くっ…あいつらめ…好き放題やりおって…!」 「あいつら…?まさか…」 17号と18号がやったというの? 「そう…17号と18号だ。あの二人…従順な人造人間を装っていたのだ。制御コントローラーも壊された…」 「大丈夫ですドクター、わたしが造ります!それよりも、あなたをどうにかしなければ…」 今にも爆発を起こしそうなドクターの頭。まるで時限爆弾でも抱えているかのようだった。彼には時間がない。早く修理を施さなければ… が、焦るわたしをよそにドクターの言葉は否定的だった。 「いや…今となってはもう遅い。地下研究所も全て破壊されてしまった…やつらを止めたとしても、肝心な研究材料が無くなっては意味がない…新しい人造人間の誕生も…何もかも失ってしまった」 絶望的だった。 全てはドクターのために、そしてあの人造人間を造り出すために尽くしてきたのに。 どうしたらいいのか… わたしには何が出来るのか… 「わたしが研究所を離れたせいで…」 ここで全て失ってしまうのかと、そればかりが頭をよぎる。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |