世の流れというのは、絶えず変化している。時間は誰にも止められない。 だから時間は何が起ころうとも無感情に過ぎて行く、そんな冷たいものだと思う。 でもそうであるからこそ、人って前に進むしかないのね。 流れが変化するからこそ、少しでも希望が見いだせる時があるはずだから。 そう、まさにその時が来ていた。 わたしの知らぬ間に状況は一変した。 18号を発見したセルは、吸収に成功し完全体へと変化したのだ。運はわたしたちに傾いたようだ。 ベジータは、最強のパワーを手に入れたセルにあっさりと倒されてしまう。そんな中、続いてトランクスが彼に立ち向かった。 「お前を殺すぞ…セル!」 「強気なセリフだな…」 トランクスに予想以上のパワーを感じたセルは、楽しむように答える。 「ちょうどいい、完全体の強さを試す時が来たようだ。ついでに○○○をあれだけ痛めつけたお返しをせねばな」 「○○○…?あの人造人間のことか…?」 トランクスはある言葉を思い出していた。 人にはそれぞれ理由がある____ 唯一の家族であるドクターゲロとの約束を果たすためだと、自分に向かって来たあの人造人間の言葉… 「こいつが…セルがドクターゲロの人造人間であり、悟空さんを殺すために、そして全てを破壊するために作られた限り、それを放っておく訳にはいかないんだ…!」 ところがベジータ以上のパワーを秘めていたトランクスだったが、セルの前ではそれも無意味だったようだ。セルに根本的な要因を突かれ、完全に戦意を喪失させてしまった。 「ベジータだけでなくお前にも失望させられるとはな…」 セルは気を落とすトランクスに、質問を繰り返す。 そのトランクスの反応から、時間さえあればトランクスやベジータだけでなく、孫悟空も含め更に実力をあげることが出来ると察し、武道大会を開くことを告げた。 が、突然の話にトランクスは納得がいかない。 「ま、待て…お前の目的は一体何なんだ!?最終的な目的は…!?オレにはさっぱり見えてこない…地球を…いや、宇宙を征服することなのか!?」 セルの理解し難い行動に、只々焦るトランクス。その彼とは裏腹にセルは余裕な物腰で答える。 「目的だと…?そうだな、武道大会では私自身の強さの確認と更にその強さを引き出すための練習ができる。征服などというそんな俗なことには興味はない」 「ドクターゲロは孫悟空を殺す目的で私を造り出したようだが、今の私にはそれもたいして意味が無い。もちろん武道大会で更に強くなったそいつと戦えるのなら大歓迎だが」 「な、ならば一体…!?」 「あえて言うなら、楽しむことが目的…と言ったところか?そして恐怖に怯え引きつった人間どもの顔を見ることだ…!」 その不敵な笑みにトランクスは言葉も出ない。 「楽しみにしていろ、全世界を恐怖に陥れてやる」 そう答えたセルは、倒れ込むわたしの元へと歩き始めた。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |