穏やかな風と共に、徐々に訪れる夕闇の色がまるで未だに夢から覚めぬそんな心地にさせる。さっきまでわたしの周りで繰り広げられていた波乱な事態は、いつのまにか時と共に流されていった。ずっと張り詰めていた気持ちも今では消えている。 不思議な気分… やっぱりわたしはまだ夢でも見ているのかしら。 時折強く吹く風に髪が流される。 その顔にかかる髪さえも抑えられないほど、わずかな力も残っていないわたし… 今はとにかく少しでも回復を待つしかないようだ。 少し話した後だったからか、また疲れてしまったらしい。 間もない内にわたしは再び眠りについていた。 そしてまた、あの夢が…… あの揺らぎ続ける光… 紅く燃える……炎のよう。 まるで…炎の海だわ 何かが見える…誰かしら…… 泣いているの?きっと動けないんだわ… あんなに手をのばしてる… 助けてあげなきゃ 誰か… いいえ、助けて欲しいのは… わたし…? あれは… わたしなの……? ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |