Story:13 困惑と憤懣(ふんまん)-5-



それきりその日はセルとは一度も話すことはなかった。
わたしは彼から離れ木陰で独り、今日という日が過ぎるのを待つばかりだった。明日にでもなれば忘れられる…そんな気がしたから。

夜が近づき、わたしは近くの空き家で寝泊りすることにした。

「9日後の武道会の影響かしら、誰もいないのね」

床に就くなり今日のセルの対する複雑な心境が、なかなか眠りにつかせてくれない。昨日のセルが見せた優しさは何だったんだろう…

本当に彼を信じていいのだろうか。こんな時ドクターは何と言うのだろうか。


わたしの気持ち次第なの…?

もちろん誰も何も教えてはくれない。




ぬるい一粒のしずくが頬に伝った。


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