「そうか……お前がトランクスに立ち向かった時も同じようなことを言っていたな…」 しばらくの沈黙と共にそう口にした16号だったが、わたしの顔を見るなり何かを察したように答えた。 「ドクターゲロの命令とともに何か別の目的があると思っていた。が…これはお前自身が選んだ道ということか…」 思案した16号は言葉を続けた。 「それぞれ人には守りたいものがある。それはオレも同じだ。それを壊そうとする者がいるのなら、ためらわず全力で守りに行く。もちろん相手がお前であってもだ。あるいは、お前ならどうする。話せば理解し合えるか?」 「あなた…まさかとは思ったけど、そんな考えを持っているのね… もう知っているでしょう?わたしはわたしにできることが何かを常に考えてる」 「お前はオレとは違い、まだ人間らしく感情で動けるというのなら…それこそ気づくべきだろう。 身を危険にさらしながらも、ヤツを完全体へと導いたお前だ。何故そこまでしてセルに肩を持つのだ。お前のような理解者がそうする理由とはなんだ」 「やめて、それ以上聞いてどうしようというの……?それともわたしの感情を揺さぶろうとでも?そんな手には乗らない……!」 彼はわたしに何かを気づかせようとしている……? 「お前は… 大切なものを慈しむ心がある。それこそ、“その感情”が仇となるかもしれない…それだけが気がかりだ」 「……どういうこと……?!」 「それはお前自身が一番よく分かっていることだろう…」 先ほどまで執拗に問いただしてきていた16号に、微かに焦りと苛立ちを覚えるのもつかの間、突然の彼からの言葉に、心の奥底に静かに包んでものをまるで無防備にも引きずり出されそうで、わたしは必死に抑えていた。 わたしには…すでにセルに対する特別な感情があった。だからこそ理由などなかった。 でもどこか触れてはいけない気がして…ずっとこのまま閉まっておきたいだけなのに… 「わたしの心配など…随分と余計なことを… あなたこそ自分の心配をしておいた方が身のためよ…」 「そうやって意地を張ったとしても、オレには無意味だ」 「何よ、分かったような口を聞かないで…!ましてやあなたにはセルのことなど理解出来ないでしょう……?!」 「お前は理解出来るのか?ならば何故ヤツを止めようとしない」 そんな言葉はもう聞きたくはなかった。これ以上わたしを追い詰めて何になるというの…? 「止めるだなんて……考えもしないわ…」 「…愚かなことだ…恐ろしいことになるかもしれないのだぞ…」 「それなら、あなたの守りたいモノって何?あなたこそ人造人間とはいえその感情があるのなら、あなたはわたしの話も理解出来るはずよ…!」 せめてもの思いで、わたしは彼の論にあらがうしかなかった。 「セルは……わたしが守るわ」 「盲目だな…その感情、このゲーム次第ではのちに後悔するかもしれない…」 もう16号が何を言おうと、わたしはそれ以上の言葉を返すことはなかった。 わたし自身の信じるものに、誰にも邪魔をさせたくない…ただただそれだけを考えていた。 わたしは間違っているの……? 違う… 彼は…セルは… わたしがいなければきっと独り それはわたしと同じで… 存在する意味を探している だから…… ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |