Story:02 齟齬(そご)の予感-3-




突然隣りの部屋で電話が鳴った。

「あ、ちょっと待っててね」

電話に出るブルマ。話し相手は、どうやらクリリンのようだ。何故か途中でトランクスを呼んでいる。この時代には、無いはずのタイムマシンの話まで出てきた。この後ある場所で落ち合うらしい。
わたしは隣の部屋から聞き耳を立てた。


トランクス…?彼はまだ小さな子供のはず。他にも未来から来た者がいるの…?



「ごめんなさい待たせちゃって。修理の必要な製品は預かるわ、軽く状況を聞いておこうかしら。ちょっと急用が入ったものだから」

ブルマは急いでいるようだ。わたしは一考し答えた。

「あの…急いでいるのであれば、わたしは待ちます」

「ええっ、でもどの位待たせてしまうか分からないわよ?先に聞いておいた方がいいんじゃ…」

「大丈夫です、手当までしていただいたので…ここで待っています」

表情を和らげ、わたしはさり気なく用事を薦める。その顔に安心したのか、ブルマはそれを受け入れた。

「何だか悪いわね、良かったらコーヒーでも飲んで待ってて。すぐ戻るようにするわね!」





一人部屋に残ったわたしは、初めて訪れたこのコーポレーションの様子を探りに、静かに周りを歩き回っていた。

ブルマの電話越しの話が気になる。だがついて行くわけにもいかない。事を荒立てては、動き辛くなる。後で調べに行くしかないわね…


近くで騒がしい音が聞こえ、その音の先にある部屋をのぞき込む。どうやらブリーフ博士が観ているテレビからの音のようだ。

そのテレビの画面からは、ある事件の緊急リポートを伝える番組が流れている。

わたしは何気なくその様子を見ていた。
が、画面が次に切り替わった時、わたしは目を奪われた。


こ…これは…!?


突然目に入ったその画面内の光景に、胸騒ぎを感じた。

場所はジンジャータウン。それほど遠くはない。

タイムマシンの修理など、今はどうでもいい。
とにかくあの場所へ急がなければ。



…わたしの知らないどこかで、何かが動き出している…

どうやらこの次元は単純ではなさそうだわ。

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