「あー…こんばんは。青い髪のアンドロイドを見ませんでしたか?」
「見てないわ。それより色男さん、私と気持ちいいことしてかない?」
「ははは、仕事中なので遠慮しておきますよ」

「すみません、ここを青い髪のアンドロイドが通りませんでしたか?」
「いや?知らないな…そんなことより僕なら素敵な君を満足させてあげられ「結構です。どうも」

この聞き込みを続ける意義が果たしてどれだけあるのだろうか?
この、そこいらじゅうでくねくねポールダンスを披露する奴らのおかげで変異体による殺人事件が起きたというのに緊張感のきの字も感じられない。
見る者などひとりもいない、それでも踊らねばならない悲しきセクサロイドのサガ。

「あほくさ」

ハンク達は筐体に入れられ展示されている連中のメモリから変異体を見つけ出そうと、バタバタとあちこち行ったり来たりしている。
30分30ドル、彼は一体これまでに何体のセクサロイドをレンタルしたのだろうか。
ざまあみろハンクめ、このアル中ヤリチン。経理に絞られりゃいいんだてめえは。

「…ナマエ、考えてること顔に出てるぞ」
「おう、アル中ヤリチン。キリキリ調べろや」
「この…!」
「ハンク、こちらへ!」
「お呼びですよ」
「てめえも来るんだよバカヤロウ!」

二度にわたって俺を馬鹿と罵倒したハンクに不本意ながらも引きずられ、向かった先は従業員通路の奥にある倉庫だった。
シャッターの上げられた開口部から凍えるような外気が容赦なく入ってくる。

それに加えて作業台に横たえられたアンドロイドの目はとても虚ろだ。恐らく修理中か廃棄待ちのどちらかだろうが、何体ものアンドロイドが周囲に規則正しく陳列されている状況も相まって、気味が悪いことこの上ない。

「人類もおしまいだな…人間関係に嫌気がさしてみんなアンドロイドに走る」

同じように辺りを調べるハンクが突然ぼそりと呟いた。アンドロイドくんは、何も答えなかった。

「じきに俺たちゃ絶滅するだろうさ。人間と愛し合うくらいならプラスチックを買った方がマシだってんだからな」

虚しいね、とひとりごちる。

「逆にさ、人間がアンドロイドより優れてる部分ってなんなんだろうな」
「そりゃお前、感情があって……他者を、その、思いやったり労ることができるだろ」
「ふーん。そのわりにはブッソウな人殺しやら戦争やらはいつまで経ってもなくならないよな。差別も当たり前だし、事件は毎日起きてる」
「…何が言いたいんだ、ナマエ」

ハンクは嫌悪感を露わにして凄んだ。
都合の悪いことを指摘されるとすぐにヘソを曲げる人間が思いやり?
きみはマジで冗談が上手いな、ハンク!自虐効いてるぜ!

「わかんねーかな。滅びるべくして、アンドロイドに滅ぼされるんじゃねえの、人類は」



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