ナマエ。
ナマエの瞳の中にわたしがくっきり映り込んでいる。どこまでも優しく穏やかな声色でわたしを呼ぶ。
ナマエ。ナマエ。ナマエ。ナマエ。ナマエ。
ヨシカゲにだって言われたことのない言葉をたくさんくれた人。
はじめてのひと。

わたしだけを見てくれる。
わたしのことを尊重してくれる。
わたしをとてもとても想ってくれる。

ナマエにとって、わたしだけが特別。わたしだけが。
一目ぼれ。なんだって。

ナマエが帰ってしまったあといつまでも後ろ姿を見送っていると、不機嫌そうなヨシカゲが鼻を鳴らした。

「名残惜しいのかい、キラークイーン」

なごりおしい?わたしが?

「全く癪に障るよな、あいつは…ぶつぶつ……」

わたしは…ナマエがわたしに触れた頬に残る熱
が風にさらわれていくことが、ひどく名残惜しい。


ナマエは会うたびにわたしを愛していると伝えてくれる。至上の美しさだと褒めてくれる。
くすぐったいけど悪い気はしない。でもヨシカゲは嫌そうな顔をする。あまのじゃく。

今日は手を握ってくれた。
まっすぐにわたしを見つめて、たくさん好きだよって。
テーケツアツのヨシカゲと違ってあたたかい手。ゆっくりゆっくり、わたしの手もあたたかくなっていく、ような。

わたしには、誰かが誰かをすきになる、ということがわからない。理解がむつかしい。
でもナマエがひたむきに真剣で一途なことはよく伝わってくるから、ナマエに触れられるのはいやじゃない。

ナマエの頭の中はわたしでいっぱい。
いまはそれだけで、まんぞく。




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