おお、哀れな老人ストーミーは死んだ
ゆこう、嵐を従えて!嵐のごとく突き進め!
おお、哀れな老人ストーミーは死んだ
そうとも、風と折り合いつけて
ゆこう、嵐を従えて!
銀のシャベルで彼の墓を掘った
ゆこう、嵐を従えて!嵐のごとく突き進め!
銀のシャベルで彼の墓を掘った
そうとも、風と折り合いつけて
ゆこう、嵐を従えて!
金の鎖で彼を下ろした
ゆこう、嵐を従えて!嵐のごとく突き進め!
金の鎖で彼を下ろした
そうとも、風と折り合いつけて
ゆこう、嵐を従えて!
彼をモンテゴ・ベイまで運んでやった
ゆこう、嵐を従えて!嵐のごとく突き進め!
彼をモンテゴ・ベイまで運んでやった
そうとも、風と折り合いつけて
ゆこう、嵐を従えて!






「どうも、どうも、いつもアルミンがお世話になっとります!」

唐突に肩を叩かれた。振り向くと、額の広い男と素朴な雰囲気の女が朗らかに笑っていた。些か興奮気味に鼻を鳴らしている。

「は…?」
「息子からいろいろ聞いてますよ、なんと塩の湖からいらしたとか!」
「是非お話しを伺いたいのですわ!お時間よろしいかしら!」
「え、」
「いやあ、仕事が忙しくてなかなかご挨拶に行けませんで…同じく奪還作戦に招集されたと聞いて飛んでまいりましたとも!」
「随分たくましいこと!まあ、あなた、すごい刺青!ねっ、あの子の言う通りね?」
「やはり特別な意味が込められとるんでしょうね?塩の湖を旅する方だとか?おお、この欠けた薬指はカイゾックの習わしか何かでしょうか!?」

右の女に刺青の覗く胸板を叩かれ、左の男に掲げた左腕をまじまじと見つめられ、しばらくされるがままになる。男のくりくりした青い瞳は、見れば見るほどアルミンのそれそっくりだった。

「あの子は隠しても隠してもどこかから禁書を持ち出してきては読み耽っておりまして…わたくしの父もきつく言っているのですが…ま、知的好奇心があるのはいいことですな!」
「でも、ナマエさんもくれぐれも気をつけてくださいね。憲兵団に嗅ぎつけられると厄介ですから」
「はあ…」

俺が二人に挟まれて気のない返事をしている間も、矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。
勘弁してほしいとうんざりしてきたところで、男が声をひそめて耳打ちした。

「ここだけの話ですがね…実はわたくしども、気球を作っているのです」
「気球?」
「空を飛んで、壁の外に出るのです!」

胸をそらして男が言った。つるりとした額が太陽の光を反射した。

「そんな馬鹿な」
「いいえ!必ず完成させてみせます!その為にわたくしども、この奪還作戦を生きて帰らねばと…いやまったく調整したいところが山ほどありまして完成にはほど遠いのですが」
「あの。ナマエさん?アルミンの頼んだこと、あまりお気になさらないでね。わたくしたちなら大丈夫ですから」
「…とても大丈夫そうには見えないが」

一人で頭をうんうん捻る男を見やる。女は苦笑した。

「本当に…死ににいくつもりは、ないのです。まだあの子に外の世界を見せていないもの」

優しげな目を細めて、女はしっかりと言葉を繋いだ。

「だから、必ず生きて帰りましょうね」

良い女だと思った。




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