「う、うぇっ……おげぇええ…」

あしたば公園の片隅で、俺は相も変わらずひとり孤独に吐瀉物をまき散らしていた。

ちゃんぽんはいけない。どれくらヤバいかって、そんなこと考えられないくらいヤバい。調子に乗りすぎたのがまずかった。
ビールと芋焼酎が胃の中で巡り会おうものなら、危険が危ない。

俺を見る周囲の目がとてつもなく冷ややかで痛々しいのだが、仕方がないじゃあないか、公衆便所が埋まってたんだもの。誰だか知らないけど、文句があるなら用を足してる奴に言ってくれよ。

「…オッサン、大丈夫か?」

「ぉろろろろろろ」

「ダメっぽいな」

「ぼっぼうや、こんなもの見ちゃいけないからあっち行きなさいおえええ」

「ええ年した大人が情けないやっちゃのう」

ひとりの小学生が好奇心からか近づいてきた。物好きな奴もいるものだ。
ランドセル背負った子どもにこんな無様な姿を晒して呆れられるなんて、自業自得とはいえちょっとショックだけれども。

「ぼうやは、こんな大人になっちゃだめだよ…」

「なるかボケ。ぼうやって呼ぶな」

刺々しい言葉とは裏腹に、ぼうやは親切にもペットボトルの水を差し出してくれた。

「きみはやさしいね…ありがとうね……」

ごつごつとした手からペットボトルを受け取る。
いや待て、何かおかしい。
よくよく小学生を眺めてみると、目の錯覚か、いかめしい成人男性がランドセルを背負っていた。
小学生には似つかわしくないほど大柄で、ヤクザ顔負けの顰めっ面に、髪は見事な金色に染め上げている。
黒いランドセルが不釣り合いなくらい小さく見え、随分ちぐはぐな印象を与えていた。
これはあれだな、アルコールのせいで変なものが見えているんだな。

「なんやねん、ジロジロ見よって」

「…ねえ、パパとママは?」

「オッサンには関係あらへん」

「関係あるよ。ぼうや、おうちはどこ?」

「ぼうや言うな、アホ!ガッコ帰りや!」

「ほ、ほんとに小学生だったの!?」

俺のその一言が、彼の逆鱗に触れたようで。

気がつくと、俺の視界は鮮やかな夕焼けでいっぱいになった。
どうやらぼうやに投げ飛ばされたらしい。
人前でゲロぶちまけたあげく小学生に投げ飛ばされるなんて、厄日だ。心が痛い。

ひっくり返ったまま綺麗な夕焼けが薄暗くなっていくさまを堪能していると、ふと影がさして、逆さまの真島くんがゴミを見るような目で見下ろしていた。

「…なにしとんねや、お前」

「お手洗いつかってたの、真島くんだったんだね…末代まで呪うからね…」

「なんでやねん!」




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