近ごろの水商売は、キャバレーとは一風異なるキャバクラ、なるものが台頭してきているらしい。
キャバレーとはどこがどう違うのか、ものは試しだ、どっちにしろ俺は酒さえ飲めればいいんだから。
ということで、今夜はひとりのキャッチがしきりに客寄せをしていた、サンシャインなるお店にお邪魔している。

「いらっしゃいませ、お客様」

「……真島くん、働きすぎはからだによくないよ」

「ほっとけや」

舌打ちをしながら真島くんが呟いた。
お客様は神様、だなんてやっぱり嘘じゃないか。彼は俺に対してはいつもこうなのだ。
それにしても、流石にグランドよりも小規模な店だが、あそこの支配人も勤め上げているというのによくブッ倒れないものだ。真島くんは働き者。

「お客様は今回のご来店が初めてですよね?当店ナンバーワンをおつけしますよ」

「嫌な予感がするから結構です」

「そう仰らずに。さあ、どうぞ」

笑顔が恐ろしい真島くんに案内された席で待っていると、程なくして女の子がやって来た。
いや訂正しよう、女の子と形容することが憚られるなにか、だ。
茶色い声、紫のパンチパーマ、奇抜なファッション。

「こんばんは〜悦子で〜す。ってあらあら!?こないだのお兄ちゃんやないの!やだも〜、運命感じるわぁ!」

真島くん、どうして…………


「はい、水割り。私の愛情たっぷりやで!」

「劇薬かな?」

「んまぁ〜失礼な男やねさっきから!こんなええ女はべらしといて!」

「類人猿基準で?」

「そこはせめて人類にしといてや〜!ガッハッハ!」

こうして喋りながらも一通りの作業をそつなくこなすさまは、貫禄を感じるところである。
前回のように複数人ではないので、内容はともかくとして会話そのものに問題はない。
初め真島くんがなぜ彼女を雇っているのか不思議でしょうがなかったのだが、こうして実際に接客されてみて、なるほどと腑に落ちた。ナンバーワンに値するかどうかは別として。

「そう言えば、おばちゃんはなんでキャバクラで働いてるの?」

「誰がババアやねん!まだまだ現役やでで!」

「そういうのいいから…」

「ん〜まぁそやねえ、真島ちゃんがごっつええ男やからやね」

「ふーん」

「嫉妬してもええけど、期待はせんといてや。心は真島ちゃんのもんやからな!」

「うわあ」

真島くん、一体君は前世でどれだけの業を背負ったんだい。




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