「オイコラなまえ!てめえまたカップ麺食いやがったな!?」

鬼の形相で怒鳴り散らすサンジを見てもなまえは眉ひとつ動かさない。雑誌の頁をぺらりとめくってかったるそうに舌打ちをしただけだった。

「そんなに俺の飯が食いたくねえのか!?あてつけか、あぁ!?」
「だからさあ…言ってんじゃんか、お前の飯はうまいって」

じゃあどうして、と続けたサンジを遮るようにして、なまえはバリッと景気よく特大サイズのポテチを開けた。サンジがつくったなんかよくわからない本日のお八つを腹に収めぬまま。

「糖尿病でも高血圧でも肺癌でも、不摂生極めて死にたいんだよね。誰かに殺されるなんてダセエし、やっぱ死ぬなら贅沢極めたいからさ」

彼の言う贅沢というのが、安酒やらタバコやら添加物てんこもりの食品もどきやら、とにかく体に悪いものを摂取するという独自の理論超展開なのだが、サンジからしてみればそんな下らない理由で己のプライドに傷をつけられたのだからたまったものではない。
そのくせ、甘い菓子類ならば和三盆しか食わぬなど面倒にもほどがある文句をつけることもあり、常日頃からサンジの鬱憤は溜まり続けていた。

「上等だコラ…晩飯ブチ込んでクソうめえですサンジ様有難う御座いますって無様に泣き土下座するまで逃がさねえぞ…」
「きも」

本当に気持ち悪い、といった表情でなまえは雑誌を閉じると、冷蔵庫から愛飲の怪物エナジーを取り出してラウンジを出て行った。あれを持ち出すときは決まってタバコを吸いに行く。サンジもしつこく後を追った。

「まァだそんなタバコ吸ってんのか、せめて銘柄変えろっつったろうが!」

なまえがポケットから取り出した箱にはわかりやすく髑髏のマークがでかでかと描かれている。タールニコチン1mgなんてもんじゃない、一本吸えば間違いなく寿命を縮めるであろうそれを、彼は必ず一日に一箱以上吸っていた。

「ヘビースモーカーのサンジにだけは言われたくないなあ」

それでも、サンジはなまえが側に誰かがいるときは絶対にタバコを吸わないことも知っていた。
箱から取り出そうともしないなまえの顔面にお八つの皿を突きつける。甘ったるい匂いがふわりと香り、なまえは顔をしかめた。どうにも甘い物は苦手なようだった。





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