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レオの作品を当てる
2025/11/04 20:40

 ふと私の部屋でテレビを見ていた時、チョコレートのCMが流れる。様々な洋酒が入っているチョコレートは冬の限定品で、いつもCMがオシャレなのでなんとなく覚えていた。今年もまた綺麗な大人の女優さんを起用した大人っぽい雰囲気で、流れているBGMもしっとりした感じではあるけれど、どこかワクワクとするように音が跳ねている。

 そこで私は何かを感じ取り、ついテレビに向かって指をさして、隣でザクザクいい音を立てながら揚げたての唐揚げを頬張るレオくんに向かって口を開いた。

「ねぇ……この曲、レオくんが作曲した?」
「え?うん」

 すんなりとレオくんが頷き、咀嚼した唐揚げをごっくんと飲み込んだ。今日はいつもより上手く作れたそれを沢山食べてくれるのが嬉しい。しかしそれよりも、私はレオくんが作った曲を聴いただけで彼作だと当てられた事の方が嬉しかった。何を理由として当てられたのかを聞かれると難しいが、『なんとなく』である。なんとなくレオくんが作りそうな曲だと思ったのだ。

「わぁ、やっぱり!当たった〜!!」

 やった〜!と一人パチパチ手を叩いていると、横のレオくんがキュッと上がったつり目をまん丸にして驚いていた。

「おれ、おまえにこの曲作ったこと言ってなかった?」
「言ってないよ、曲自体初めて聴いた。でもなんとなくレオくんが作った曲かなって思って。当たったの嬉しい」

 そう言って一度テレビに向けていた顔を再びレオくんの方に向けると、突如ドアップの彼と目が合う。いつのまにか身を乗り出して、私の方を見つめていた。

「ギャッびっくりした!」
「曲聴いただけでおれが作ったってわかったの?」
「だからそうだってば。詳しい理由は聞かないで。それこそ霊感だから」

 音の流れが〜とか、彼がよく使う音階が〜とかそういった専門的なことは全くわからない。レオくんの作品はKnightsの楽曲を始めとして沢山世に出回っているので、それこそ正解する確率は低くないだろうけれど、彼がそれこそ魂を削って作り上げる作品に気付くことが出来たのが嬉しいのだ。

「この曲、おれっぽい?」
「うん。本当になんとなく。大人っぽい中でも楽しい感じがして好きだよこれ……うわ!」

 何気なくそう言うと、突如横からドン、と押されるように身体を倒された。驚きもそのままに上に乗っかって私を倒したそれを見る。勿論レオくんの仕業だ。

「な、なに?!びっくりした!!」

 人の上に乗り、胸元辺りに思い切りしがみついてる彼のつむじをツンツン押して抗議すると、暫くして彼は顔を上げた。笑顔なんだけれど、満面の笑みというよりは照れ笑いに近いそれは若干ニヤニヤとしている。人の胸元に顔を埋めてニヤニヤしているので何やってんの、と呆れそうになるけれど、彼の行動には何かしらの理由があるはずなので何か言いたげなその口が開くのを待った。

「……へへ〜、」
「なに、どうしたのレオくん」
「おまえが気付いてくれたのが嬉しいし、この曲好きって言ってくれたのが嬉しい」
「あ、ほんと?気付けてよかった」

 とは言っても、別に彼の作った曲を当てるのが初めてなわけではない気がする。男の人にしては軽いけれど、私より身長のある男の人に全体重を乗せられているのはやはり重い。私は一度呻いてから、よしよしと彼の太陽みたいな髪を撫でた。それが気持ちいいのか撫でるのを更にねだるようにグリグリと頭を押しつけてくるのついついかわいく思ってしまうのは愛ゆえかもしれない。

 それにしても上機嫌なレオくんに私は疑問を一つ摘みつつ、テレビの中でもう一度流れてきた先ほどのチョコレートのCMを見た。女優さんがチョコレートにキスをしてから食べるのが色っぽいけどいやらしくない。素敵なCMに彼の曲が見事にマッチしている。

「これは何を考えて作ったの?」

 ふと何気なく聞いてみた。いつもの彼は何気なく日常の中で湧いた霊感を形にしている、らしい。なので今回の曲も何かしらの感覚に感化されて作ったのだろうと思い聞いてみると、私の上からようやく体を起こしたレオくんにチラリと視線を向けると、何故か頬を紅潮させた彼と目が合った。

「え、どうしたの?」
「この曲?」
「う、うん。いや無理して答えなくていいけど……」

 するとレオくんが大きく首を振って、何か言おうと口を開き、閉じて、視線をチラチラ彷徨わせてからこう言った。

「お、おまえの」
「わ、私の?」
「寝顔かわいい〜ってなって、作った曲……」
「えっ」
「ごめんなし!いやなしじゃない!うそじゃないけど!ばかっ!なんで聞くんだよっ」
「し、知らないし!」

 すっかり拗ねたようにそっぽを向いたレオくんの真っ赤な耳に、私の頬も次第に熱くなっていく。
 そんな事を言われて私の方が圧倒的に恥ずかしいのだから、そんなに照れないで欲しい。



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