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零の疲れを癒す
2024/08/25 23:20

 見た感じは長身痩躯で、筋肉質というよりはスレンダーな彼はその体型に似合わずちょっとした瞬発力に優れている。更に体力もある方だと思うけど、今日久々に私の家に来た彼は酷く疲れた顔をしていて、私は思わず珍しさを感じてしまっていた。

「大丈夫?疲れてるね」
「ん?おぉ……ちょっとな」

 仕事が立て込んだんじゃよ。といつもの声のトーンで言うと、私に覆い被さるように抱きついてきた。完全に体重を私に預けているわけではないものの、重たい。疲労が全身から滲み出ている。
 確かに彼は昼間活動するのが苦手だから日の出ている内はぐにゃぐにゃな事が多いけれど、それともまた違う気がする。

「疲れてるのにごめんね」

 そんな中以前約束したからと私の家に来てくれたのが申し訳なくなって素直に謝ると、零くんは「なんの」と笑った。

「疲れているのは肉体的にではなく精神的にじゃから。どっちかというとおぬしと会えた方が元気になるわい」
「えっ、そう?」
「そうじゃよ。我輩の元気の源〜……」
「いやそれは言い過ぎ……えっ、えっ、待って待って!うわ!重い!」

 覆い被さるを通り過ぎてのしかかってきた零くんに、私はなす術もなく潰される。膝枕ならぬ全身枕状態になりながらなんとか彼の下から這い出して、私は彼の頭を撫でながら口調をわざと真似てみる。

「よしよしお疲れ様じゃのう。ゆっくり休むがよい〜」
「えっそれ我輩の真似……?かわいい。もっとやって」
 効果はてきめんだったようである。



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