「お邪魔する!」
「大きな声出さないでくださいね煉獄さん。怪我人がいるので」
「うむ!あの子の様子はどうだろうか!」
「今朝目を覚ました後、今はぐっすり眠ってます」
「そうか!それはよかった!」
「はい。なので大きな声出さないでくださいね」
数日の任務を終えて家に帰る間もなく蝶屋敷に足を運んだ。以前助けた女性。鬼に襲われ、右手には大きな傷を負い、胡蝶に治療を頼もうと連れて帰った。家族である両親と弟は既に帰らぬ人となったがこの子だけは助けられると思った。助けたいと思った。自分が早く来ていれば救えた命なのにと悔やむ。
「...それで、彼女のご家族はどうでしたか」
「うむ。埋葬を終えて後片付けも済んだのだが、やはり町のもの達は怪訝な感じだったな。やはり鬼を信用しないことで説明のしようもない」
「...そうですか」
理解したように眉を下げる胡蝶。今まで何人のも人を救って、それでも大切な人を失ったもの達を数え切れないほど見てきた。けれど、こんなにも鬼を信用しない町があっただろうか。
今では生き残った彼女が家族を殺したとありもしない事を言い繕い、冷たく扱うようになっていた。このままでは返すこともできないだろう。とにかく目を覚ましてくれてよかった。右手に持った花を胡蝶に渡して今日は帰ることにする。
「いいのですか?」
「うむ。ゆっくり寝かせてやってくれ」
「彼女も煉獄さんに会いたがってました。また顔を出してあげてください」
「時間を見つけて寄ろう!」
「お願いしますね」
ゆっくり眠る彼女は窓からの日に照らされて儚げに輝いていたけれど、その長いまつ毛のした。白い肌が泣き腫らしたように赤く腫れていたのを見て心が痛んだ。