アレな本

 偶然とはいえ、ユラはレスターのトラックを掃除しているときに、彼のアレな本を見つけてしまった。
「きっとこういうのって、自分の好みの女性が出ているのを買うんだよね……。レスターの好みの女性か。気になるなぁ」
 表紙にはダイナマイトボディの金髪美女が体のラインを強調するようなポーズをとっている。
「わー、胸大きい」
 思わず自らの胸をおさえてしまう。レスターは、大きな胸の女性が好みなのだろうか。おしりもしっかりあって、腰のきゅっとくびれた金髪の美人さん。そんな女性が好みなんだろうか。
「うう……」
 もうページをめくるのさえ、恐ろしい。中にはもっと過激な、そして同じような金髪美女が勢ぞろいに決まっている。ユラは元の場所に例のものを戻すと、トラックから降りた。
「ユラ? 見ねえのか?」
「わっ! レスター!? びっくりした……」
 レスターはにやにやしながら、動物の死骸をトラックからおろしている。
「見るって、なにを?」
「なにって、座席の下にあったろ?」
「……っ! あ、あれは偶然見つけちゃって……。その……なんか、ごめん」
「別に構いやしねえさ。ユラだったら、かしてやらねえこともない」
「かりたくない、かな……」
「ふうん。熱心に表紙を見てたから、てっきり興味があるのかと思ったが、違ったか」
 ユラは迷ったが、思い切っていってみることにした。
「れ、レスターはああいう女の人が好きなんだなあって思って見てただけ。ああいう金髪の……」
「好みっていうより、新品だったから頂戴しただけだよ」
 つまり、誰かの遺品だったということだろう。ユラは苦笑いを浮かべながら「そ、そう……」と言いながら、その場を去ろうとした。
「前にも言ったろ? 俺の好みはあんただ」
「……っ」
「だから、ユラがエロい写真集でも作ってくれれば一番いいな」
「ばか! 最低! そんなの作るわけないでしょ!」
 一瞬でもレスターにときめいた自分がばからしい。ユラはレスターを軽く叩いた。
「でもなぁ。写真集にしてもいいが、俺以外には見せたくねえなぁ」
「だから作らないって言ってるでしょ!」
 レスターはからかうのが楽しいらしく、けらけらと笑っている。ユラはそんな彼を好きになってしまった自分にも腹が立つのだった。