プロムから帰ってきたユラは、ソファに倒れこんだ。プロムは楽しかった。誘ってくれた男の子は前から気になっていた子だったし、親友がプロムクイーンに選ばれてかなり興奮した。だが、履きなれないハイヒールのせいでくたくただ。さっさとハイヒールを脱いでしまうと、床にポーンと投げてしまった。どんなにだらしない姿勢でいても、深夜だ。誰も注意する人間はいない。
「おかえり、お姉ちゃん」
顔を上げると、エスターがやけにセクシーな服を着て立っていた。化粧も施している。
「ただいま。どうしたの? てっきり可愛い服が好きなのかと思ってた」
「変?」
「そんなことない。すてきよ。ただ、どうしたのかなって思っただけ」
「今夜は特別な夜にしたくて」
「そうなんだ」
何か予定があっただろうか。それよりも、どうしてこんな時間まで起きているのか聞くべきか。姉として妹の前でだらしなくしているのは好ましくないだろうか。様々な考えが頭に浮かぶものの、すっかり疲れてしまっているためにすべてが重要でないことに思えてくる。
エスターがユラの横になっているソファにちょこんと座った。
「どうしたの? 狭いんじゃない? 座っておしゃべりしたいなら、私起き上がるわ」
「いいの。そのまま。ほら、どう? 気持ちいいでしょう?」
そういいながらエスターがユラの足をマッサージする。小さな手が程よい力加減で足をもんでいく。
「あぁ、ほんと……気持ちいい。上手ね、エスター」
小さな手はだんだん上に……。
「エスター?」
エスターがユラのももをそっとなでる。そして、その手はさらに上へ……。
「こ、こら。ダメでしょ、もう……なにやって……」
「……静かにしなさい、ユラ。拒否すると、大きな声を出すから。両親にはあなたに卑猥なことをされたと言うわ」
「ん……なに、それ」
卑猥なことをされそうなのに、断れば逆に卑猥なことをされたと言いつけられてしまう。エスターはいい子だから、両親は彼女のほうを信じるだろう。
「それに……今親を呼ばれたら困るんじゃない? あなたお酒の匂いがするわよ」
「……っ!!」
「わかったら、おとなしくしてて」
そう言いながらエスターはユラにくちづけた。触れる程度のキス。それがだんだん荒々しくなり、ユラの口内にエスターの舌が侵入してくる。
「ん……ふ、はっ」
キスが終わると、エスターは満足げにほほ笑んだ。
「ユラ、私のこと愛してる?」
「……愛してるわ、エスター」
「私もよ。特別な夜にしましょう。ふたりで」
体が熱を帯びていくのは、初めて内緒で飲んだお酒のせいなのか、エスターのせいなのか。ユラにはわからなかった。