逃げぬ小鳥1

 アンブローズは今日も相変わらずで。たまに来訪者が来ることもあるけど、今日はもう来ないだろう。毎日が退屈だった。ユラはサンドイッチの頭をなでながら、ぼんやりと空を見上げた。
「いい天気だねえ」
 こんな日は、みんなきっとどこかに出かける。遊園地とか、動物園とか。ピクニックやバーベキューもいい。浜辺を歩くのもよさそうだ。アンブローズの外に出てみたい、最近ユラはそう思うことが多くなっていた。けれど、ボーにアンブローズ以外のどこかに行きたいなんて言えるわけもなく……。そんなこと言ったら、がつんと殴られてしまいそうだ。
「どこか出かけるか?」
 振り返ると、そこにはボーがたっていた。
「出かける?」
 ボーから発せられた言葉が信じられず、思わず聞き返す。
「そうだ。こんなに天気がいいんだ。お前は出かけたいとか思わないのか?」
 思わないわけじゃない。今日のボーはどうしたんだろうと警戒しつつ、ユラはなんて答えようか迷っていた。
「散歩、とかは? サンドイッチも一緒に連れて行って、その辺を歩くの」
「はあ? そんな近場でいいのか?」
 ボーはやれやれというようなしぐさをしてから、サンドイッチの頭をなでた。
「じゃあ、その散歩とやらをするか」
「うん」
 どこかアンブローズ以外の場所に行きたい。そんな気持ちがあったはずだ。けれど、アンブローズから離れることが急に恐ろしく感じた。だって、アンブローズ以外の場所に何があるというんだろう?

 ボーは内心、ほっとしていた。もし、ユラがどこか遠くに出かけたいと言い出したらどうしよう――。自分は、そんな彼女を許せるだろうか?