ボーとユラはソファに並んで座り、映画鑑賞をしていた。少し前にやってきた若者たちがDVDデッキと、十数枚のDVDを持っていたのだ。娯楽の少ないアンブローズでユラはあっという間にDVD鑑賞にハマってしまった。
「ちっ。また恋愛ものかよ」
「恋愛ものも面白いんだよ? この前はボーに選ばせてあげたんだから、今日は私が選ぶ番でしょ?」
「わかったよ、好きにしろ」
文句を言っていたくせに、ボーは居眠りもすることなく、真剣に映画を見ている。ユラはそんなボーの横顔に釘付けになっていた。なんだかんだいって、いい男だ。性格に難あり、だが。
「なんだよ」
視線に気が付いたらしいボーが、テレビからは視線をそらさずに呟くように言った。
「ごめん、つい」
「? つい、なんだよ?」
「見惚れてた」
ボーがゆっくりとユラの方を見る。心なしか顔が赤い。
「ばか。映画を見ろ」
それだけ言うと、再びテレビの方に視線を戻してしまった。ボーに言われた通り、ユラは映画を見ることにした。
映画のエンドロールが流れる。映画が終わったら、いつものようにさっさとボーはどこかへ行ってしまうものだと思っていたが、ソファに座ったまま動こうとしない。
「バカな男だよな」
「だれが?」
「映画の男だよ。惚れた女の留学を止めもしないなんて」
「そう? 好きな人の夢を応援できるのって素敵じゃない?」
ボーは肩をすくめた。
「ただのバカだ。俺だったら、絶対に行かせない。どこにも」
ボーはそう言って、徐にユラにキスをした。
「一生この町に、閉じ込めてやる」
そういうと、ボーは部屋を出ようとした。去り際の彼に、ユラは「ぜひそうして」と笑顔で言った。