妬いてほしい?

「もうすぐハロウィンかぁ」
 ユラは、アンブローズの来訪者たちの荷物を見ながら呟いた。もちろん、この荷物の持ち主たちはすでに蝋人形となっている。大学生くらいの男女だった。悪戯でもするつもりだったのか、殺人鬼っぽい衣装と、たっぷりの血糊が荷物に入っていた。
「最近は若い女の子が、大胆な仮装をするよなあ」
 レスターがぽつりとつぶやいた。ほとんどアンブローズで過ごしているはずなのに、なぜハロウィンの女の子の仮装について知っているんだろうと思い、ユラは軽く首を傾げた。
「なあに、妬くなよ。雑誌で読んだんだ」
「レスターが読むのなんてそもそもいかがわしい雑誌でしょ」
 レスターは肩をすくめた。
「別に。私には関係ないから、レスターが何を読もうとかまわないけど」
「本当に?」
 レスターがにやにやしながら、ユラの顔を覗き込む。
「うるさい」
「なあ、悪かったよ。ただ、ちょっと……」
「なに?」
「たまには妬いて欲しかったんだよ。いつも俺ばっか妬いてるからな」
 それを聞いて少しだけ気分を良くしたユラは軽くレスターの頬にキスをした。