愛しあっている、そんな安っぽい言葉では私たちの関係は表しきれない。少なくともユラはそう考えている。
今日も愛しの彼は人間の死体を加工している。彼は、いつも無言だ。何も言わない。
彼と10日ほど一緒にいて、分かってきたことがある。たとえば彼は人間を食べるときもあれば、トラックの荷台に積んで持って帰って来る時もあるとか。大怪我をしても、その分食べれば元通りとか。
「愛しているわ」
彼は顔を上げ、ユラをちらりと見た。だがすぐに興味を失くしたかのように、死体加工に戻ってしまった。
「あなたもそうよね。私のことを愛しているわ。言わなくても大丈夫。わかっているから」
大丈夫、私は彼に愛されている。
ユラは心の中で呟いた。
彼が何か言ってくれれば、ユラも少しは安心できるかもしれない。だが、彼は何も言ってくれない。ただ一つ確かなのは、彼もユラを愛しているということだけ。
その証拠に、彼は片足を負傷しているにもかかわらず、目の前のユラに食らいつこうとしない。悲しいことに、ユラがそれを知る事はない。
「本当に好きよ。食べられたってかまわないわ」
彼の動きがぴたっと止まる。
ああ、君は何もわかっていないんだから……。