「はぁ……」
ここ、アンブローズで暮らすようになって半年ほど。いろいろあって、ユラはボーと付き合うことになった。けれど、ボーがどうも自分を女として見ていないような気がして、ユラは不安だった。単に親切心で自分と付き合ってくれたのではないか。ボーに親切心があるかどうかはわからないが。
「そうだ!」
前回やってきた連中は旅行の帰りだったらしく、たくさんのお土産を持っていた。ブランド物の黒いハイヒールがあったはずだ。ならば、あれもあるはず……。
ユラは久しぶりに化粧を施した。ブランド物の化粧品を旅先で大量に買い占めていたらしい女性はすでに蝋人形になってしまっている。だから、ユラが化粧品を使ったとしても怒ることができない。
「これでよし」
久しぶりだったから、かなり時間がかかってしまった。だが、なかなかいい出来だ。ボーも気に入ってくれるだろう。
ボーはすでに自室にいるらしかった。ユラはボーの部屋の扉をノックした。
「ボー、入ってもいい?」
「ああ、いいぞ」
ユラが扉を開けて部屋に入ると、真っ先に目に入ったのはボーのたくましい上半身だった。
「な、なんで服着てないの?! わ、私……」
「あ? 別にいいだろ。俺たち恋人同士なんだし……」
「そ……そう、なんだけど」
ユラは意を決してボーのベッドに腰かけた。
「ボー……」
「なんだよ」
ボーはそう言いながらユラの横に腰を下ろした。
「ん? 化粧したのか?」
「そう、なの。どう?」
「綺麗だ」
そう言ってユラの頬を撫でた。ユラは顔が熱くなるのを感じた。
「……で?」
「で? ってなんだよ……」
「そそる?」
ボーはため息を吐いた。
「莫迦。いつも我慢してんだから、これ以上煽らないでくれよ」
「でも、私ボーと……」
そう言いかけたユラの唇をボーが唇でふさいだ。柔らかなキス。
「いまはこれで我慢しておこうぜ。……お互いな」
そう言ってボーはニヤリと笑った。