ユラは、ヴィンセントがくれた子犬の小さな置物をとても気に入っていた。すこしサンドイッチに似ている。サイドテーブルに置いているのだが、それが目に入るたびに嬉しくなって思わず手に取って眺めてしまう。
「ユラ、それそんな気にいったの?」
いつの間にか部屋に入ってきていたヴィンセントが尋ねる。
「もちろん。すごくね。だってとってもかわいい!」
ユラはそう言って夢中になって置物を見ている。
「……。キミを喜ばせようと思って作ったけど、失敗だったかも」
「え? なんで?」
「だって、あんまり僕のこと見てくれなくなった。置物ばっかり見てる……」
ユラはちらりとヴィンセントの方を見た。すねているようだ。ユラは置物を置くと、ヴィンセントの手を掴んだ。ヴィンセントの指を撫でながら、愛おし気に微笑む。
「な、なに……?」
「この手であの置物は作られたんだって思うと、なんだか嬉しくて。あの置物を触っているとヴィンセントに触れているような気分になっちゃうの。変な話だけど」
ヴィンセントはにこりとした。すっかり機嫌は直ってしまったらしい。
「じゃあ、直接僕を触ってよ」
ユラは少し顔が熱くなるのを感じた。ヴィンセントの顔も少し赤く見える。
「いいの?」
「うん、もう自分の作った置物に嫉妬したくないんだ」