ある夏の夜──────
『ねぇジャック。カトラーから日本の花火を貰ったの。せっかくだしやってみないかしら?』
部屋の高級そうな骨董品などをいじっているジャックに話す。
ここのところ、彼は名前の屋敷に泊まりこんでいる。いや、むしろ住み着いていると言っても過言ではない。
名前のバスルームにはジャック専用の歯ブラシとシャンプー、ボディーソープまでもが置いてある。
ジャックは名前から花火の入った袋を渡される。
「何なんだこれは?新種のたばこか?」
『そんなことしたら死んでしまうわよ…ファイヤーワークスよ。日本のは種類が多いの。カラフルな花火に、打ち上げ花火、へび花火、線香花火っていうのまで!!!たくさんあるわね。さぁ、早くやってみましょう!!』
「楽しそうじゃないか!!やろう!!」
ワクワクしている名前に手を引かれ、庭へと出てきた。
「いつ来ても名前の庭は広いし、相変わらず整えられてるな…」
『当たり前じゃない。庭は1番凝っているのよ。さぁ水も汲んだことだし、やりましょう!どれからやろうかしら?』
「この''すすき花火''っていうものはどうだ?」
『いいわね。やりましょ!!』
名前に気を使い、ジャックは名前の分まで火をつける。
──────シューーーー
「綺麗じゃねぇか!!」
『ほんと!!ピンクだわ!!、、あっ、次は緑に変わったわ!!色が変わるのね』
すすき花火は様々な色に変化し、2人の周りを照らす。
『消えちゃった。次はこの鉄砲の形をしたのをやりましょう。ジャックが好きそうだから』
「さすが可愛い子ちゃん。俺のことを考えて決めてくれるなんて!!!」
名前の優しさに感激しながらまた火をつける。
『綺麗ね〜、夏って感じがする』
ジャックはというと、銃の形をした花火にテンションが上がり、走り回っている。
「名前、消えたぞ…」
ジャックは、持っていた花火の火が消えてしょんぼりしてしまった。
『それじゃあ''線香花火''やりましょうよ!やっぱり花火といえば線香花火よね』
火をつけると花火の先端に火の玉ができ、パチパチと音を立てながら燃えていく。
『思わず見惚れてしまうわ…』
「俺はそんな名前に見惚れてしまうぜ…」
しゃがみこみ、可愛らしく線香花火を眺めている名前をさり気無く口説くジャック。
「どっちが長く続くか勝負だ子猫ちゃん!!」
『受けて立つわ!!』
ジリジリと2人の花火は燃えていく。
どちらもそれぞれの花火を見続けていると──────
『「あっ!!!」』
2人同時に落ちた。
「これじゃあ引き分けだな…」
『ふふっ、そうね』
思わぬ結末に2人は微笑む。
そして自然と唇を重ねていた。
夏はまたまだ始まったばかり──────