カツカツカツカツ──────
大理石でできた広い廊下を無機質な足音が響く。
そう、このベルベットのマントを翻した気品溢れる男、
『ベケット卿』そう────カトラー・ベケットは焦っているのかいつもより早足である部屋へと向かう。
ガチャ────
ダイヤモンドカットされた高級感のある、アンティーク調の両開きの扉を開けようと手にかけると、
「────ふふっ、」
男女の談笑する声が聞こえるのをよそに
ベケットはドアノブを思いっきり開けた。
「.....おやおや、''私の''名前に何の用かな。ノリントン提督」
''私の''という部分を強調してノリントンに優雅な笑みを浮かべ目をやる。
いや、ただ目は笑っていない。
強いて言うならば口だけが不気味に吊り上がっている。
「名前にプレゼントを渡していたところです。彼女が好きなフランスのお菓子を買ってきたので」
ノリントンはそんなベケットを気にせず勝ち誇った笑みを向け、さりげなく名前と目を合わす。
「カトラー見て、この可愛らしいマカロン。私の好物だって分かっていたのね」
名前は嬉しそうに彼女の手の上に乗ったピンクとシルバーのリボンでラッピングを施されたボックスの中身を見ると、淡いピンクに紫、いかにも可愛らしいマカロンが入っていた。
「知っていて当然だ。君の好みなんて何でもお見通しだよ」
『まぁ、ジェームズったら。』
微笑みながら笑う二人の姿はまるで恋人同士のようだ。
「そうだ名前。そろそろ新しいドレスを仕立てなくてはな…早く仕事も終わった事だ。今から行こうではないか?」
『あら、いいの?丁度良かった。変えたいと思っていたのよ。行きましょう」
クルッとベケットに乗せられ、ノリントンは少し顔を歪めた。
(フン…どうだノリントン。)
目を細め勝ち誇った笑みをノリントンに向けた。
「名前、用意をしてきたらいかがかな」
『そうね。ジェームズ、素敵なプレゼントありがとう』
そう言いノリントンの頬にキスし、名前のローズの香水の香りと、ピリピリとした空気を残し名前は部屋を後にした。
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「貴様に名前は渡さない。」
「どっちを選ぶのかは彼女次第だ」
「フッ、何を分かり切った事を…せいぜい横から見ておくんだな。────それでは私は名前と出掛けてくる。まだ居る用事はあるのかね?」
嫌味ったらしく微笑を含ませノリントンに話しかける。
「また近いうちに会いに来よう」
「土産は十分だ」
彼らのバトルはまだまだ終わりそうにない…
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