「.....名前、水を…」
『分かったわ』
日々の仕事の疲れからなのか、滅多に病気にかからないベケットが風邪を引いてしまった。
ゴホッ、ゴホッ、と固い咳が広い部屋に響く。
ガラスのピッチャーに入った、冷たい水をグラスに注ぎ、ベケットに渡す。
頑張って起き上がってはいるものの、高い熱のおかげで少しフラついている。
よほどしんどいのか、少し涙目になっているようだ。
ベケットの火照った頬に触れる。
『まだ下がらないのね…』
「…すまない。君に迷惑をかけてしまって」
『謝る事なんてないわよ。いつも私を気にかけてくれるのに、貴方が風邪を引いてしまうなんて。』
フフッとベケットは少し苦しそうに笑う。
「しっかり自己管理しないとな…」
名前はベケットにふんわりとした布団を掛ける。
『何か温かい物を作ってくるわね。他に何かいるかしら?』
「…私のそばに居て欲しい」
か細い声で名前を呼び止め、ギュッとエルサの服の袖を掴んだ。
いつもの威厳はなく、ただとてもしんどそうなベケットの姿に少し胸が痛む。
『…ふふっ、分かったわ。私はここに居るから心配しないで少し休んで』
そう言い、ベットの端に腰掛けてベケットの頭を愛しいもののように撫でる。
『早く治りますように…』
いつの間にかベケットと名前は眠りについてしまっていた。
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どれくらい眠ったのだろうか。熱も下がり、頭痛も治まった。これも名前が看病してくれたためか…
(名前を呼ばなければ…)
そう思い、ベケットは名前を呼ぼうとすると、ベットの隅で腕を枕にして寝ている名前がいた。
「次は君が風邪を引いてしまうじゃないか」
ベケットは起き上がり、名前を起こすが、全く起きる様子がない。
「仕方がないな…」
名前の華奢な体を抱き上げ、寝ていたベットへと寝かせる。
「ありがとう名前…私は君が居なければいけないようだな」
ベケットはすやすやと寝ている名前に笑みをこぼし、優しく布団を掛け、頬にキスをした。
ふんわりと名前のお気に入りである、薔薇の香水がほんのりと香る。
「君の全てが愛おしい…ずっと傍にいてくれ…」
そう呟き、唇を重ねた。