後一歩だった残り7回目


前回と違って、今回はもう火神大我の居場所がわかってる。

黒子と同い年のようだし、高校入学までに日本に来て、誠凛に入ってくれればいい。

上手く調整しよう。





何回も繰り返しているうちに、どう動けば先輩とどんな関係になれるのか覚えた。

だから先輩にバレないようにしながら、裏で動くのは比較的に楽だった。

無事に火神を日本に来させ、誠凛に入学させられた。

彼なら勝てるかもしれない。そう思わせる何かがあった。

火神と黒子との相性はよく、火神と誠凛との相性も良かった。

黄瀬と緑間に勝つまではいった、いったのに………!!

青峰と紫原、そして赤司には勝てなかった。

原因はわかってる。

他のメンバーが弱いからだ。

いや違う。膝の故障で木吉が途中で離脱し、日向も霧崎戦で怪我をし離脱する。それがダメだった。

2人が離脱する時期が被るのがよくない。

インターハイで誠凛が優勝するのはどうしたって無理だから、ウィンターカップで優勝してもらいたいのに、2人がいないなんて絶望的すぎる。

インターハイ時だと、火神の力がまだ足りないし、黒子と火神はチームに馴染みきれてない。他のレギュラーメンバーだってウィンターカップの方が力がある。

それはつまり、他のチームもウィンターカップの方が伸びているという事ではあるんだけど、インターハイよりウィンターカップの方が実力差が小さくなるのを考えると、やっぱりウィンターカップで優勝してもらいたい。

だからせめて無冠である木吉にはウィンターカップに出てもらいたいが、インターハイが終わった後、いや、インターハイで無理に使いすぎた膝が故障するのは確定事項だ。

日向は……俺が霧崎をコントロールすればなんとかなるかもしれない。

事故が起こらないように、事故を起こした人物を出さないようにする。それだけじゃまた別の人が事故を起こすかもしれないから、試合の流れ自体を全て変えて、メンバーも総入れ替えして、元々の条件なんてカケラも無くせば、もしかしたら、日向は怪我をしないで先に進めさせられる。

次はそうやってみよう。

問題は木吉の方だ。

あれは事故でもなんでもなく、日々の積み重ねが原因。

もっと膝を大切にしろと忠告しても、聞くような男じゃない。

ならば……先に壊しておけばいいのか?

木吉が高校1年生の時にあらかじめ壊しておいて、治療期間でインターハイは出られなくし、そのうちに治せばウィンターカップにギリギリ出られるかもしれない。

となるとタイミングは……いや、俺が試合中に壊せばいいんだ。

一度だけ、木吉が1年生の時に誠凛と霧崎は当たる。

その時に壊そう。

今まで犯罪に手を染めたことは何度もある。だからこれくらいじゃもう何とも思わない。

けれど一つ問題があって、木吉の足を壊そうにも俺はPGで、木吉はCだ。事故を起こせるタイミングはあるだろうか。

無理なら闇討ちでもなんでもしよう。





今回はこれからの事を考えて、そこそこ先輩と付き合っていたので、やっぱり先輩は目の前で死んだ。

俺が特に何もしなければ、だいたい先輩は事故で死ぬ。

けれど今回は通り魔に刺されて死んで、しかも死んだ日は2月25日ではなく2月28日だ。

本当に、誠凛は運命を変えやすいらしい。

俺もそうだったらよかったのに。


「後1日だったね」

「でも無理なのはわかってた」

「だろうね。じゃあもう戻すよー」

「よろしく」


全ては先輩のために。

しかしそれは悟られてはいけない。