運命に負けた残り6回目
戻ってきた。相変わらず俺は中1に戻る。
そこで恐ろしいことに気づいた。
なんで今まで気づかなかったんだよ、俺。バカすぎる。俺はやっぱり出来損ないだ。
毎回中1に戻り、俺が高2の終わりで先輩は死ぬ。
つまり先輩が死ぬ運命を変えられたか見るのに必要な年数は5年。だから最低でも5年の寿命は必要だ。
カラスは言っていた。後9回だよ、と。
それで後9回も戻れるんだと勘違いした。
確かに寿命的にはそうなんだろうけど、実際には5年必要なのだからあの時ので後4回。
黒子について調べるので1回、氷室を誠凛に入れて1回、火神を誠凛に入れて1回。
これでラストじゃないか!!
だからカラスは言ってたんだ。
急いだ方がいいと、ヒントとか聞かないの?と。
今回でなんとかしなければ……
これで実質ラストになる。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!!!!!
何がダメだったんだよ。
いつも通り先輩と上手く関係を気づけた。
何回も繰り返しているから、霧崎第一の人達にどう接しればどう動いてくれるのかもわかっていた。
実際、それもうまくいった。
2年の途中で不祥事を起こして消える監督を、1年の途中で俺が追い出して俺が監督になって、部員に指示をした。
彼ら思い通りに動いてくれた。
本当に上手くいっていたのに。
指示を出して木吉に怪我を負わせた。
日向は怪我をしなかった。
火神はいつの間にかゾーンを習得していて、青峰にも勝てていた。
火神を誠凛にやったことで何かが変わったのか、一度使おうとした氷室が陽泉にいたけど、それでも紫原に勝てた。
黒子と火神がキセキ達を倒していくことで、実際キセキの仲も良くなっていた気がする。
なのに、どうして。
誠凛は洛山に負けた。
104対105だった。
誠凛は、黒子は赤司に勝てなかった。
赤司に味方の能力をゾーン一歩手前までにする力があるなんて知らない。
そんな事が出来るなんて今まで一度もなかった。
今まで赤司はその力を出すまでもなかったということか?
それとも、赤司が負けそうだったから世界がその能力を赤司に足したのか?
そうまでして、そうまでして世界は赤司に負けさせたくないのかよ。
ここまでして勝てないなんて、もう、どうしたら……
運命は簡単には変えられない。
わかっていたつもりだった。
でもまだわかっていなかった。
俺に運命を変えられる力なんて無かったんだ。
先輩が死んだ。
目の前で死んだ。
助けようと身体が動いたけどダメだった。
死んだ日は2月28日で、やっぱり少しは変わっているんだと思う。
けれど救えなかった。
「本当に惜しかったねぇ」
「それじゃ意味がない。俺の寿命は次で後4年だ。もう運命が変わったかという確認すら出来ない」
「あぁ、そのことに今気づいたんだ。でもいい事を教えてあげる」
「今更なに?」
「次の君の寿命は4年と少し。5年は切ったけど、4年ぴったりじゃない」
「それがなんだっていうんだよ。どっちにしろもう無理だ」
「まぁ、最後まで聞きなよ。君の寿命はね3月1日に切れる」
「え?」
「つまり次ならまだギリギリセーフって事だよ」
「じゃあ……」
「そう、まだ頑張りなよ。キミが足掻いている姿は面白いんだ」
「でも、あそこまでして変わらないのなら、俺にはもう運命を変える方法がわからない」
「本当にアレは惜しかったんだ。彼らは負けたけど、負ける可能性と勝つ可能性は共に50%だった。彼の運が良かったんだよ。ステータスで言うなら彼の運はカンストしてるからねぇ。次はそれを覆すだけさ」
「その方法があるがわからないんだよ!!」
「ここまで来たキミにならわかるよ。ま、頑張って」
「まっ……!!」
まだ聞きたい事はあった。
いつもは俺の確認を取ってからだったのに問答無用で戻された。
俺は、俺は……