変え始めた3回目
起きたら俺はやっぱり中学校の入学式の日まで遡っていた。
先輩が死ぬ未来を避けたい。
けれどあのカラスは言った。
運命はそんな簡単に変わらない。
5年後の2月25日、先輩が死ぬのは決定事項なんだ。
どうしたら変えられるのだろう。
俺はその方法を知らない。
けれど前回、前々回と同じじゃダメだというのはわかる。
俺は部活に入るのをやめた。
今回は先輩と関わりを持っていない。
俺なんかが居なくても、先輩は変わらず過ごしていた。
これなら、変えられるだろうか。
そして俺と先輩は知り合う事がなく、例の、先輩が死ぬ日まで来た。
関わりがなくても俺は一方的に先輩の事を調べていて、ストーカーと言われてもおかしくないような事をしていた。
その日も先輩の様子を伺うために後をつけていた。
視界に、暴走したトラックが目に入る。
「先輩!!」
先輩は振り返らず、そのまま歩き続ける。
当たり前だ。先輩は俺のことを知らない。
先輩と呼ばれて、立ち止まるはずがなかったのだ。
先輩は、そのまま暴走したトラックに轢かれて死んだ。
俺はまた変えられる事が出来なかった。
今回は先輩の葬式には出なかった。なんの関わりのない俺が出れるはずがない。
けれど先輩の葬式があった日にまたそいつは現れた。
「そんなんじゃ変わらないよ」
「なら、方法を教えてくれ」
「嫌だ」
「なんで……!!」
「それより、また戻る?」
「……戻らせてくれ」
俺はまた戻った。