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3月4日。霧崎第一高校。


「原ー!どうだった!?」

「俺らの花宮の作戦が失敗するわけないじゃん」

「それは当たり前だろ。そうじゃなくて、贋作で選ばれたの!俺も提出したんだよなぁ」


休み時間、今回の作戦に参加した一般生徒達が原と駄弁っている。


「あ、私も作ったわ。選ばれたものは花宮様にテスト勉強を見てもらえるのよね?」

「あー、あれね。聞いたら、瀬戸のを使ったってさ」

「うっそだろ結構自信あったのに!!よりにもよって瀬戸かー」

「瀬戸は勉強見てもらう必要ないじゃん」

「ほんとそれー。俺も親父に上手く作るよう頼み込んだのにさぁ。ま、俺は部活で勉強会あるからいいけどねん」

「これだからバスケ部は」

「バスケ部の余裕ってやつか?」

「来年には引退するんだろ」

「その立場ゆずれよ」

「じゃあバスケ部に入部しなよ。うちは誰でも大歓迎だよーん」

「「「それはちょっと」」」


蝶よ花よと育てられた者では、結構過酷なバスケ部の練習にはついてはいけない。見ている分にはいいが、参加するのは嫌な一般生徒達だった。

昼休みになると、原は花宮の教室に向かった。


「花宮いる?」

「いるよー」

「ラッキー、探さないですんだ。花宮ー、例のもの持ってきたよ!」


原は手に持ったそれを花宮に手渡す。


「ふはっ、どーも」

「それのどこがいいのかねぇ」

「全部」


原が花宮に渡したのは、高級のカカオ100%チョコだった。花宮は貰った途端、さっそく1つ食べている。


「本当にそれだけは理解できないや」

「理解される必要がないな」

「うん、だろーね。あんまりそればっかり食べてるとザキに怒られるよー」

「うるさい」

「あ、俺食堂行くけど花宮もくる?」

「いかない」

「えー、残念。じゃあまた部活でねー」


用が済んだ原は、お昼ご飯を食べに食堂へ向かう。

その途中。


「あ、そうだ」


唐突に声を上げた原はスマホを取り出す。そして不可視状態にされていたハッキング用のアプリを慣れた手つきで可視化状態にすると、そのままアンインストールした。


「これでよーし!」


こうして完全に怪盗キッドとの繋がりは切れ、この事件も終わりを迎えた。

原に散々煽られ、花宮によってプライドを折られた怪盗キッドは、もうしばらく霧崎第一の人間には関われない。

原家は宝石を盗まれる心配がなくなり、期待通り盗みを阻止した花宮の好感度は爆上がりで、今回のことでちょっとでも花宮に関われた生徒達は束の間のその幸福を楽しむ。

そうして、1週間もしたらこのとこは忘れ、いつも通りの楽しい楽しい日常に戻っていくのだろう。

ハッピーエンドだ。


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