ロヴロ

フランは、ビッチ先生の授業には滅多に出ない。というか、出たことあるのは、一回のみだ。その時にビッチ先生の授業は完全に必要ないと判断したフランは、それからビッチ先生の授業に出なくなった。フランは普通に何ヶ国語も余裕で話せるので、本場の英語を教えるビッチ先生の授業を要らないと判断するのは仕方ないのかもしれない。

そんなフランのことをビッチ先生はあまり好きではなかった。まず、自分の授業をサボるのが気にくわないし、なのに発音とかは完璧で、もしかしたら自分より多くの言語も喋れるかもしれないからフランには文句も言えず、ちゃんと発音できる癖に自分のことをわざとビッチせんせーと呼ぶからだ。だからこれも、仕方がないことなのかもしれない。

でも、ビッチ先生も精神的にはまだまだ幼いところもあるが、一応大人だ。嫌いな生徒一人に固執し続けない。なので、フランの存在を完全に無視して、いつも通りの授業をしていた。そしてフランも、いつも通りの場所でサボっていた。

そんな時、フランはこのE組の敷地内に誰かが入ってきたのを感じとった。


(気配は一応消してますけど、ミーでもわかるってことは灰色の方ですかねー。師匠ししょーからは何にも聞いてないんですけどー……これって確認しなきゃいけないじゃないですかー。チッ、めんどくさいですねー)


なんて思いつつ、フランは気配を感じる場所に向かった。

フランが気配を辿った先にいたのは、灰色の方では有名な暗殺者、ロヴロだった。


(まるでストーカーのごとくあの人ビッチせんせーを見てますねー。変態野郎??まぁ、狙いが生徒じゃないなら放置、でいいような気がしますー。あー、でも、生徒に害がないと決まった訳じゃないんですよねー……はぁ、監視続行ですー)


ロヴロのことを変態野郎扱いするのはきっと、フランだけだろう。ビッチ先生を見るロヴロを見るフランは何なのか疑問に思うところだが、深くツッコんではいけない。

それからしばらくして、ビッチ先生の授業が終わる前にロヴロは動き出した。そして、職員室前の廊下にトラップを仕掛けた。


(あららー、これって止めた方がいいんですかねー?でも、殺気は感じませんし、放置でいいですよねー。見なかったことにしましょー)


そうしてフランは元のサボり場所に戻った。

この後、ビッチ先生がトラップに引っかかったり、殺せんせーが登場して何故かロヴロとビッチ先生が烏間先生を暗殺する勝負をすることになったりするのだが、サボり場所に戻ったフランは何も知らない。

次の日。

ロヴロとビッチ先生は烏間先生のことを狙っていた。それに疑問を持った生徒達に、烏間先生は軽く説明する。

説明を聞いたフランはというと、こんな面白そうな事になるなら、その場に残ってればよかったと少し後悔していた。

さて、この暗殺勝負、誰が勝つのか。

最初に仕掛けたのはビッチ先生の方だった。が、知り合いにビッチ先生が得意とするハニートラップは通じず、結果は見るも無残なものとなった。余りにもな酷さに、フランは爆笑である。

その次に、ようやくロヴロが最初で最後の勝負を仕掛けた。正面から奇襲を仕掛け、床の細工を事前にし、烏間先生の隙を作る。その一瞬で勝負を終わらすつもりだったが、年老いて引退した暗殺者と、つい最近まで精鋭部隊にいた人間、どちらが勝つのか明白だった。

ちなみにこの勝負、フランは幻術で隠れて見ていた。勝負がどんな感じに決着つくのか、気になったからだ。烏間先生の動きに、フランはちょっと評価を上げた。

そしてお昼休み。ビッチ先生が最後の勝負に出た。クラスの人達から見ても、殺る気が感じられる。

その勝負は、クラス全員が見ていた。もちろんフランもだ。

まず、ビッチ先生は色仕掛けをし、上着を落とす。ほとんどの人は気づかなかったが、この時フランだけはそこにワイヤーが仕掛けられてると気づいていた。身近にナイフとワイヤーが武器のどっかの王子(笑)がいたからだ。だからと言って何かを言うわけでもなく、フランは黙って事の成り行きを見ていた。

ビッチ先生はトラップを仕掛けた後、木を一周回って烏間先生をトラップに嵌める。バランスを思いっきり崩した烏間先生にビッチ先生は乗った。後はトドメを刺すだけ。

しかし、そう簡単に殺られる烏間先生ではない。あと一歩のところで、ビッチ先生の手を掴んで動きを止めた。

どうしても殺したいビッチ先生は烏間先生に懇願する。諦めの悪いビッチ先生に烏間先生は折れ、ナイフを受け入れた。勝負はビッチ先生の勝ちである。


(もうちょっと勝負見たかったんで、烏間せんせーには諦めないで貰いたかったですねー。まぁ、烏間せんせーのが殺られるという滅多に見れない光景も見れたし、いいとしますかー)


こうしてビッチ先生はE組に残留する事となった。

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