明星ギャラクティカ/ut
街のネオンの光の届かない場所で俺は一人海を眺めていた。毎日が何処か心苦しく燻んでいるから今日は一人になりたくてここまでやって来た。手すりに腕を置きながら海を眺めていれば気持ちが落ち着くのでは無いかと思っているがなんとも言えない気持ちなっている。そして今日の疲れを取るために胸ポケットからタバコの箱を出して一本を取り出そうと箱を振るが一本も出てこない。
「なんや、タバコ切れたんかい」
箱を地面に落として踏みつぶす。俺の唯一の心の安念を保つ煙草がなくなってしまってイライラが止まらない。なんでここに来る前にコンビニとかに寄ってタバコを買わなかったんやろ。そんな事も考えられないぐらいにも疲れていたのだろうか。
「こんな所に先客がいるなんて。」
海を眺めていると一人の女性が話しかけて来た。服装的に仕事帰りような格好である。スーツのジャケットを腕にかけてカッターシャツで膝よりも少しだけ上のスカートを履いた女性がいる。
こんな街灯の光が一切ない星空だけが街灯の役割をしているような場所に女性が来るなんてまぁ、大丈夫なのかと思ってしまう。
「お姉さんは如何してこんな所おるんや。」
いつも通りヘラヘラとしているが興味ないように煙草を口に咥えて火を着けて息を吐く。白い煙が空に向かっていくのが見ていてわかった。
「今日のストレスを発散しに来ただけさ。君もそうだろ。」
「ええっ…まぁ」
その言葉にドキドキと心が騒がしくなってしまう。こんなにも堂々と言われてしまうと何故か焦る自分がいる。
「社会人になるとストレスは溜まりやすくなるよな。一本いるか。」
「ありがとうございます」
持っていた煙草の箱から煙草を取り出してこちらに差し出してくる。それを俺はもらって口に咥える。女性はライターまで貸してくれる。俺はそれを借りて火をつけて返す。
この煙草は俺が吸った事ない匂いであり味である。
「海なんか見てもストレスなんて消えないな。」
「そうですね。」
「あぁー社会人になってから本当のことなんって言えなくなって本音とストレスも溜まって嫌になるけども君はどうだい。」
「まぁ、日々のストレスは溜まりますよね。おれも溜まっていますから。」
女性は口に咥えた煙草口から離して煙を出す。こんなにも煙草を吸う姿が美しいなんて思ったのは初めてかもしれない。
「あ、あの。電話番号交換しませんか」
「良いよ。」
カッターシャツの胸元にあるポケットからスマホを取り出して少しだけ弄ってアドレス帳を出して俺に渡してくる。
「ありがとうございます。」
「別に良いよ。まぁ、社会人同士頑張って行こうか。」
煙草を吸い殻ケースと言うのかそう言う袋を取り出して中に入れている。
手すりに背中を預けながら夜空を見るその女性がなんとも形容しがたい。まるでアニメの中から出て来たような美しさを持っている。
「そんなにじっくりと見つめても何も出ないよ」
「あっ、えっとそんなに俺、見つめてたか?」
「一分程は見つめていたな」
なんて話していると女性は腕時計を何度も何度も確認をしている。時間に余裕がないのか。
「そろそろ遅いから先に帰るね」
「気をつけて帰ってな」
手を振る俺に女性は手を振りながら歩いていく。
女性の後ろ背中を見つめる。居なくなった途端に虚しさが俺の心に残ってしまう。
「はぁぁあ。まじで美しかったわ。」
なんて息を吐くように言ってしまう。
「また、会えたらええな。」
静かに波をたてている姿を見ながら俺は一人楽しみを増やした。輝く夜空の川は何時もよりも輝いて見えてしまう。
「さぁ、明日も頑張ろ」
俺は帰路を辿る
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