遺書/ut


毎日が楽しいと思っていたのがいつからかつまらなくて毎日、自分を苦しめるようになったのか。いや、それは自分が全て悪いことをしてしまったからだ。少しでも考えればなにか思いついていたのだろう。だけどもそれを考えられなかった愚かな自分がいけない。

だから、自分はどのようにして顔を向けたらいいのか。どのようにしてその人と向き合えばいいのか。嫌ってくれた方が嬉しいなんて思ってしまう自分がどこかにいればまた、仲良くしたいなんて思ってしまう自分も思うから自分という人間は嫌だ。

とある友人は昔、言われたことがある

「なぁなぁ、なんでそこまで自分を追い込むんや。僕にはようわからへん。そこまで追い込んでいる必要は無いやろ」

そう言われても。幼少期からこんな性格なればそう思ってしまうんだ。前から悪いことはずっと忘れずに背負ってしまう。人によって良いことなのかもだけど私のとって地獄のように思えてしまう

自分を言葉言葉を一つ一つ考えて行動して偽りながらも頑張ってそんな雰囲気を出さずにただ、一人苦しめられなきゃいけない。

「大先生には分からないだろうけどそういう性格になってしまったんだよ。」

「ふ〜ん。そうなんや。俺にはようわからへんよ。浮気をしたって罪悪感を感じるが直ぐに忘れてしまうから。その気持ちはようわからへん」

なんて言える大先生が私にはとても羨ましいなと思ってしまう。だから、ずるいななんて思ってしまう。もしも、彼の気持ちと私の気持ちが入れ替えられたらならばどれほど良い物なのか。

いや、それでもここまで罪悪感を感じてその人と距離を置くなんて馬鹿らしいことであるよな。ならば、いっそ消えてしまえばいいのか。

「大先生はもし、私が遺書を書いてそれだけを残して死んでしまったらどう思う」

「どう思うも何も、俺は何も出来んかったんだなって思うだけや。こんなにも隣にいて傍にもいたのにただ、救えないだけの無能やったんやなって」

「そっか...そうだよね」

なんて頑張って笑ってみせる。彼は何事も言わずただ、前を歩いていく。彼の背中はどこか寂しそうでどこにも行かないでくれと言うように捉えられてしまう。

「俺は止める気も無いし、それが幸せになれる方法ならそれを選べばいいと思うよ。だけども、俺は後悔し続けるしきっとこの事だけは忘れられないと思う」

そう言われたら死ねなくもないし遺書なんて書けなくなるでしょ。ほんと、策士な人なんだなって思う。

「病気や事故で死ぬのはええけど。自殺だけはしないでくれ君がいなくなったら罪悪感で立ち直れなくなると思うんや。」

その言葉を聴くだけで罪悪感と吐き気がする。自分なんて気にされない存在なのにこの一人の人に注目を浴びてるそれだけで良いのかもしれない。誰からも哀れみを受けていても彼だけはそんなことを思わずに苦しめられて生きるのだろう。

「私は自殺しないよ。ただ、君に聞いてみただけだよ」

なんて言えば彼は「そっか。それならええんやけど」なんていつも通りに話して家に帰る。

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拝啓 鬱先生様
今、貴方はどのようなことを思っていますか。私を嘘つきなんて思っているでしょう。ごめんなさい。
私には生きる価値というものが無かったらしい。生きていて何も楽しくも面白くもなかった。だから、大先生が読んでる頃にはこの世に居ないでしょ。
君と話してる時にはもう、自殺のことを考えていたのさ。君に伝えれば君は止めないとか言う割には止めるからな。だけど、それは君の良さであり君の才能なのかもしれない。
君だけは私のことを気にしてくれた。私が誰からも嫌われようと誰からも見放されても君だけは私のこと平等に見て君だけは私のことを友人だと思ってくれた。
私はそれだけで幸せだったよ。
ありがとう
我が友人でいてくれて
そしてごめんなさい。嘘をついていて
もう、声聞かせられなくて
罪悪感なんて感じずに幸せな生活を真っ当に生きてくれ
これが最後のお願いだ

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「なんでなん、嘘つき。ほんと、お前はようできてる女やで。俺が最初で最後の恋していた人なのかもしれんな」

そう言って白い花束を持って来たよれよろの青色のスーツを着た男性はそんなこと言いながらタバコを吸ってる空を見上げていた









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