「ぬいぐるみさん、もう暴れないで」
そう言ってアリシアは優しくぬいぐるみに触れた。
ぬいぐるみはぴたりと動くのをやめ、アリシアの方を見た。

「ねえ、どうして暴れてるの?」
アリシアがそう尋ねるとぬいぐるみが喋り出した。
「ボクハ、売レ残リ。誰モ必要トシテクレナイ」
カイルとレイルはぬいぐるみが喋ったことに驚いた。
アイスは呆然としていた。
「寂シイ。寂シイ。ダカラ暴レタ」
「そう、そうなのね」
アリシアはそう言ってぬいぐるみを抱きしめた。
その途端ぬいぐるみは元の大きさに戻った。
「寂しい…ね」
アイスは複雑な表情で呟いた。
「お嬢様…」
ルミエールはどうしていいかわからないようだった。
「ねえ、ぬいぐるみさん。私があなたをもらってもいいのかしら?」
「良イヨ!」
「あ、でも後でお店の人に聞かなきゃね」
「アリガトウ」
そう言うとぬいぐるみから黒い何かが出て動かなくなった。
黒いモノは空中ではじけて消えた。
「おもちゃにも意志がある、ってことかぁ」
「動けなくても喋れなくても、意識がある」
カイルが呟いた後に何処からともなく男の人の声が聞こえた。

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