「スプーン!」
背後から声が聞こえた。
ふと振り返るとフォークが歩いてきた。
同じ門番らしき者だと思う。
「フォーク!」
「姫様のお茶会が始まってしまう。
あの角砂糖の代わりになるものを探さなくては…
ん?君たちは何だ!」
フォークが鋭い刃をこちらに向けて顔をしかめる。
「トランプの国のお嬢様だ!」
「お嬢様…!?これは大変失礼しました」
フォークはすぐに刃を元の位置に戻す。
「平気よ。そんなことより大変ね。
変わりになる角砂糖は見つかるのかしら」
アリシアは心配そうにスプーンとフォークに言う。
「姫様はとてもとても…」
「味にうるさいのです」
小声でスプーンとフォークが4人に囁く。
アプリコット姫はどうやらかなりの辛口姫。
少しでもいつもの味が違うと「これは違うわ」「不味い」「何を入れたらこうなる」だのクレームの嵐でおかしの城のメイドや使いを苦しめているようだ。
綺麗で美しく可愛らしい容姿だが、口を開けば味にうるさい。
「それは気の毒ね」
アイスが言う。
「そして姫様は嗅覚がいい… はっ!」
城のビスケットの門が突然開かれた。
どうやらアプリコット姫に気づかれたのだろうか。
「そこで何をしているの!」
女性の高い声だ。
「姫様!!」
スプーンとフォークが慌てて柄を地につけ
頭を曲げたのだ。
アプリコット姫の姿が見えた。
「もうお茶会の時間だというのに…
角砂糖はまだ用意できないの?何を油を売っているのよ!…と思ったら余所者?」
アプリコット姫はアリシアとアイスとルミエールとクレールに近づいていく。
「見たことある顔ぶれですことね…」
「ごきげんよう、アプリコット姫。
トランプの国のアリシアと申します」
「ごきげんよう、
トランプの国のアイスと申します」
アプリコット姫は、思い出したかのように目を見開く。
「貴方方がトランプの国の次期後継者…
お入りになって。一緒にお茶でも致しましょう。スプーン、フォーク、案内してあげてちょうだい」
「「ははあ!」」
アプリコット姫は先にカップのようなものに乗り、城の中に入った。
「それでは、アリシアお嬢様にアイスお嬢様。
ご案内致します」
スプーンとフォークはかんかんっとお互いで鳴らしてカップをそれぞれ2台呼んだ。
ピンクのカップにアリシアとクレールとスプーン、水色のカップにはアイスとルミエールとフォークが乗り込んだ。
「まるで、遊園地のコーヒーカップのようね!」
キラキラと瞳を輝かせるアリシア。
「それでは出発致しますので、
手前の手すりにお掴まりください」
ひゅーんっとカップは城の中に向かった。
「ところで門番は大丈夫なのかしら」
アリシアがふと言うと、
「私たちの代わりのスプーンとフォークの兵は沢山います。そちらに既に任せてありますのでご心配なさらず。アリシアお嬢様ありがとうございます」
スプーンがアリシアに笑顔を見せた。


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