王子様とお姫様
早いもので、発表会当日。

あ、今省き過ぎって思った?
残念。ここまでの間に特に面白いことは何も起こらなかったんだ。

とにかく、フリフリの黒いドレスを身に纏った私は、クラスメイトの女子たちに囲まれている。

「ララちゃん!いよいよ本番だね!」
「ララちゃん似合ってる!可愛い〜!」
「降谷くんともたくさん練習してたし、大丈夫だよ!」

たくさん練習してたし…って、見てたのか。(主に私が)恥ずかしくて、校舎裏で隠れてやってたつもりが、皆にはバレバレだったらしい。
恐るべし小学生…。

「あ!王子様も準備できたって〜!」

その言葉に振り向けば、いかにもな王子様の格好をした降谷零が立っていた。

待っっっって…イケメン…

私がふいっと思わず視線を逸らしてしまえば、「立川…」と名前を呼ばれる。

「…なぁに?」
「似合ってる。」

私はその言葉を聞いて頬が熱くなるのがわかった。結局顔を上げられない内に降谷零はどこかへ去っていく。
それを周りと一緒に見送って…

「キャー!聞いた!?ねぇ、皆聞いた!?」
「聞いた聞いた!似合ってる。だってー!!!」
「もー!!ラブラブじゃーん!!」

最近の小学生はマセていると思っていたけどここまでとは…
あ、もしかして人のこと言えない?

「しかもしかも、降谷くん耳まで真っ赤にしてた!」
「照れてるんだ!可愛い〜!!」
「み、皆!もうすぐ本番だよ!準備しよ!」

これ以上彼の話題が出るといろいろと保たないので、私は少しだけ声を張って呼び掛けた。
実際本番はもうすぐだったので、皆は「ほんとだ!」「ヤバいヤバい!」と移動を始める。
私は安堵のため息を吐いた。

そして、本番が始まる…
12/22
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