熱に蝕まれ

降谷零と想いが通じあった翌日、私は学校を休んだ。
昨日の今日で学校に行きづらかったのももちろんあるけれど、単純に熱が出たのである。

(何故突然…)

鼻水や咳はひどくないけれど、単純に熱が高い。
医者が言うには、ストレス性のものかもしれないとのことだったが、そんなにストレスを感じていたのか…私は。

頭がボーッとする中でも、何もすることがない私は、考え事にふける。

降谷零と付き合うことになった。そのことは正直言ってとても嬉しいことである。
しかし、彼に対する後ろめたさがあるのもまた事実。
知っていることを知らないと嘘を吐いているのだから。
それに私は…彼のために動いてあげることができない。
しかもそれは、単純に世界を変えるのが怖いからという、私の勝手な都合でなのだ。
とても、堂々とはしていられない。

それでも、あなたに甘えてしまう私を…どうか、今だけは許してほしい。

はぁ…はぁ…と荒い呼吸を続ける私を、母が心配そうに覗き込む。

「大丈夫?ご飯食べれる?」
「あまり、食欲は…」
「そう…でも少しだけでも食べて、薬を飲まなきゃね。」
「うん…」

母はベッドの隣の机に少量のお粥と、薬、水を置いた。

「じゃあお母さん、お仕事に行っちゃうけど…」
「大丈夫。いってらっしゃい、お母さん。」
「えぇ…」

母は心配そうにしながらも、私の部屋から出ていく。
私はソッと目を閉じた。
ああ…お粥を食べないと冷めてしまう…
でも、とても…眠い…
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