私の彼【降谷零】
「付き合ってたら悪いのか。」
俺の言葉にさらに周りはざわめいた。
「なっっ…んで!!降谷零なんかが!!ララちゃんと!!」
「…それ以上零くんを侮辱するなら、許さない。」
「ララちゃん…!お願いだ!目を覚まして…!」
「あなたこそいい加減にしなさい。私の彼を悪く言わないで。」
(私の…彼…!!)
ララの言葉に、俺はジーンと感動を覚えた。
本当に俺はララと付き合ってるんだ…と実感できて、嬉しくて嬉しくて仕方ない。
キッと睨み付けてくる小田に、笑みを向けると、小田はさらに悔しそうに顔を歪ませた。
「お、覚えてろよ!!!」
小田はそう言って走り去っていく。
周りがワッと沸き、質問攻めを食らいそうになったが、チャイムが鳴ったことでなんとか回避できた。
しばらくは俺たちの噂で持ちきりだろう。
いや、それでいい。これで容易にはララは俺を捨てられなくなる。
愛し合っているのだから、そんな心配は元々不要かもしれないが、やはり不安に思うもので…
俺はチラリと遠い席になってしまったララを見つめる。
すると、ララもこちらを見てきて、目が合った。
俺が軽く微笑むと、ララは途端に頬を染め、照れくさそうに笑い返してくる。
…可愛い。
俺は、そんなララの表情や仕草を一つ一つ大切に記憶しながら、その日1日を過ごした。
授業をだいぶ聞き逃したが、放課後ララと授業内容の復習をしたので問題はない。
むしろ、ララと居られる口実ができて満足だ。
途中で小田の邪魔が入りそうになったが、ヒロが機転を利かせてくれたようで、小田は見事に先生に雑用を頼まれていた。
ざまぁみろと、内心で笑いながら、ヒロに今度アイスを奢ることに決める。
感謝は直接伝えないとな。
復習が終わった後、ララが一緒に帰ろうと言うので、俺は二つ返事で了承した。
「零くん、今日ちゃんと授業聞いてなかったでしょう?」
「あー…うん。」
「ふふ、私の方ばっか見てたの?」
「…うん。」
からかうように言ったララの言葉に素直に答えると、ララは見るからに顔を真っ赤に染めた。
その顔のまま俯くララはやはり可愛くて…
してやったりと、俺は内心で笑った。
すると、少し前を歩いていた俺の服をララがつまみ、引き留められる。
「じゃあ…明日は、私が零くんのことずっと見つめててもいい…?」
「…!!」
ララの言葉に、俺は驚いて目を見開いてしまう。
そんな風に言われて、断れるわけないのに。
上目遣いで「ダメ…?」と追い打ちをかけてくるララに目眩を覚えながらも、俺は返事を投げる。
「い、いけど…」
「!!嬉しい…!」
その返事にララはパッと顔を輝かせて、俺と腕をソッと組んできた。
ララの、この歳にしては豊かな膨らみの感触にグラリとくる。
惜しみ無く押し付けてくるから、余計に煽られてる気持ちになった。
あーーーキスしたい。抱き締めたい。
そんな欲求と戦いながら、俺はララと共に帰路についたのだった。
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