君が居た

それなりに友達ができ、それなりに先生にも気に入られる存在になれた私。
私はそのことにひどく安堵した。
精神的にはとても疲れるが、目立たないことは良いことだ。
このまま平和的に日々が続いていけばいい。

そんなことを思っていたある日、私は見てしまった。
…彼の姿を。

移動教室のため廊下を歩いていた時、私は他のクラスの教室内をチラッと伺った。興味本意で。
その目線の先に居たのが、なんと金髪褐色肌のイケメンである。
ここまで言えば大抵の方は理解しただろう…そう、降谷零がそこに居た。

(同い年ぃ…しかも同じ学校かよぉ…)

あまり彼については詳しくなかったことが災いしたのだろうか…。
とんだ事実に今さら気づいてしまった私。
正直気が気じゃない。

私はそそくさとその教室を離れ、次の授業が行われる美術室に向かった。
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