#002 ルーティーン



ピピピピ、ピピピピ……

「……ん゙…………るせぇ……」

けたたましいツェーの音を探し、闇雲に布団を叩く。
3度目にやっと音源、目覚まし時計を探し当て、布団に潜る。

きっちり5分後。
俺はゆっくり起き上がり、まだ眠気を訴える体に鞭打ってカーテンを全開にする。
眩しい朝の光が嫌でも俺を覚醒させる。

時刻は6時30分。
4月になったのにまだ冷たい床を歩き、顔を洗い、髪を軽く梳かす。

食パンを焼いている間にコーヒーを淹れる。
本当は牛乳をたっぷり入れたいが、朝はコーヒー多めの5対1。
トーストが出来上がり、焼いていたベーコンと目玉焼きを皿に乗せ、いつもの右角の席に座る。
朝のひと時が始まる。

フルーツグラノーラ入りのヨーグルトを平らげ、食器をシンクに突っ込み軽く水につけて、こんなもんかと呟き家を出る。

「……行ってきます」

声が帰ってくることは無いが、何となく毎朝言ってしまう。


もう600回は歩いたであろう通学路を歩く。
特に代わり映えしない、普通の日々を送る俺―――黒瀬凛生は、何処にでもいる普通の高校2年生だ。



黒瀬凛生(くろせ りお)
自称普通の高校二年生。

*ツェー(C)……ピアノの「ド」の音のこと。


3/10
PrevBookmarkNext