#005 自己紹介
「……えへ、驚かせちゃってごめんね」
どうぞ、とテンパった声の持ち主に椅子とお茶を出される。……水筒持ってるんだけど、まあいっか。
「えーと、俺、天宮真白です」
そう言って俺を音楽室に入れた奴が名乗った。
少しだけ鼻にかかったような、甘く、だけど爽やかな声。……たぶん、こいつが、さっきのボーカル。
「んで、こっちがちとせ、こと森山ちとせ。それでこっちはももちゃんこと桃瀬紫月」
「よろしくー!!」
「なんかごめんな。よろしく」
森山ちとせ、というさっきのちんちくりんは何ていうか、テンションが高いというか、人懐っこいというか。目はとても細いが人当たりのいい笑顔を浮かべている。
桃瀬紫月は、確か定期試験でいつも学年上位常連だった気がする。眼鏡を掛けていて、落ち着いた雰囲気の奴だ。
「あっ、ちなみに俺がボーカルとギター、ちとせがキーボード、ももちゃんはベース!ドラムは吹部の助っ人の、立花優汰くんです!」
「どっ、どうも!」
吹部の奴はなんか緊張している。……いや確か同級生、だよな。
…………やっぱり、俺の目付きが悪いから、なのか。
そういえば俺名乗ってないよな。
ふと思い返し口を開く。
「……あー、っと、俺は」
「黒瀬凜生くん、でしょ。知ってるよそのくらい!」
森山に口を挟まれる。……いや、
「……何で」
「黒瀬くん、めっちゃ有名だよ〜?顔もかっこいいし、頭いいし、毎週ここでピアノ弾いてるでしょ?だから「火曜日の王子」って呼ばれてるんだよ」
「………………は?」
何だそれ、
「初耳、って顔してるぅ〜」
「……お前、読心術」
「そんなのもってないよ〜」
森山はどこまでも心を読んでくる。
「……で、俺は何でこんなふうに」
そう、俺は別にちょっと教室を貸してもらえれば良かったのだが。
「あ、いやー……いつも黒瀬くんこの教室使ってるから、申し訳ないなって」
そう言って今度は天宮が喋り始めた。
天宮真白(あまみや ましろ)
ボーカル兼ギター。
色素薄めの陽キャ。
森山ちとせ(もりやま ちとせ)
キーボード。
人懐っこい陽キャ。
桃瀬紫月(ももせ しづき)
ベース。
頭の良いイケメン。
立花 優汰(たちばな ゆうた)
ドラム。吹奏楽部ではコントラバス。
真白と仲良しでよく助っ人として来る。
黒瀬めも2
・浮いているのではなくかっこよくて遠目に見られていただけ
・頭も良い