Dream in Dream
11in the Room
「……はぁ……」
部屋につくと、誰もいないからか、安心した気持ちと不安な気持ちが同時に押し寄せてくる。
「……やはり不安ですか?」
「……うん、まあね……」
相変わらず敬語だけど、壁のある敬語じゃない、親しみのある言葉でエマは接してくれる。
「だって、よく思ってない人達に、その、怖いことされるんでしょ?さっきのお姫様達も怖かったし……」
「ああ、どうせ女の争いのことですよ」
「え、エマ……?」
「アレクシス王子の顔目当てでこの婚礼の儀を受けたいという人がいたり、他の人を潰す目的で来る人もいたりで、……だから王子も凄く悩んでいらっしゃって。本当に自分と結婚したい人はいないんじゃないか、って。
それと、本当に結婚したかった人が恨みの思いが強いあまり、昔姫様の一人にひどいことをした人がいるんです。
……この婚礼の儀に選ばれる姫君は、誰もが純粋な想いを持っている訳ではない。その前に、家同士で潰し合ったり、僻みあったりなんてことも中にはあるのです。もちろん全員ではないけれど」
「……」
「それに、婚礼が目的でなく、自分の婚約者を見つけることが目当てで来る人や、そのために来させる家もあって。」
「……そう、なんですか……」
「……カノン様が敬語使ってどうするんですか」
「あ、いや……その、なんだか、思ったよりも貴族の生活って、大変なんだな……って」
「……カノン様はお優しいのですね。私、貴方の使用人になれてよかった。
万一有事の際は、わたくしエマが、何に代えても貴方をお守りします」
エマは、初めのときのように―――だが、真剣に、心から―――わたしにそう言ってくれた。
「……ありがとう、エマ。わたしも、貴女が付いていてくれて嬉しい」
それから、夜ごはんを食べたり、お風呂に入ったりして、エマと話をした。
「っえー!てことは、アレクシス王子は、」
「……」
「……カノン様のことを、知っているかもしれない……?」
「……たぶん、だけど。あってたら、ね」
「うそーっ、超ロマンチックじゃないですかー!!!!」
「ちょ、やめてよエマ、聞こえちゃう、」
「大丈夫ですよ、部屋の中の声は聞かれていいと思った人以外は聞くことができませんから」
「でも……っ」
「やだ、カノン様かわいいーっ」
「やめてよ!エマ!もうっ」
「照れちゃってー」
「〜〜〜っもう!寝る!」
「ふふ、明日一番ですからね。おやすみなさい」
「!う、ん、おやすみ」
……エマ、私が緊張して寝れなくならないように、わざとああやって喋ってくれたのかな。
「……ありがと……」
半分夢の中で、エマにつぶやき、優しいラベンダーの香りに包まれて私は眠りに落ちた。
「……おやすみなさい、カノン様。聞こえてましたよ」
優しく照れ笑うエマの声は、優しい闇夜に溶けていった。
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