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「悪趣味極まりない」
吐き捨てるように、さも存在そのものが醜い塵でもあるかのようにウラヌスは吐き捨てた。
それを聞いてなお、ドリスは笑顔を向けて気にする事はなかった。
「私はヴァルゼライド大佐が好きよ、愛しているもの」
「あの化物がそれに答えるなど到底思えはしないな」
「いいのよ、答えて欲しいなんて思っていないから」
水槽の中でもはや視界に入れることすら穢らわしいと目線を背けたウラヌスへそれだけを告げると、ドリスは背中を向けて歩き出した。
もう彼女には興味がなくなっていたからだ。
報告を終えてセントラルから通りへと出ると、温度差に体が少し震えた。
冷たいコンクリートの中から出てきたということ、太陽の下に出てきたということが大きいのだろう。
体の筋肉そのものが弛緩するのを感じて、軽く伸びをする。
陽の光は生きていた頃から何も変わらない。
もっとも第二太陽の持つ意味合いは、出来損ないとはいえ人造惑星としての改造を受けたことでいくらか変わった気がする。
星辰体がそのまま肉体のエネルギーとなる以上、食事も睡眠も本来は必要ではなく、ある意味では植物のように考えられる。
とはいえ、ドリスはじめ人造惑星の面々は特段そういったことは気にしていないし、弟型ともいえる錬金術師にいたってはそうした性能を持たされたことさえ不満がっている。
ドリスにすれば、この性質は単に休息という無駄な時間を削って、ヴァルゼライドへと愛を囁く時間として活用できるという点での意味があった。
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