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「戦闘特化型?」

その日、カグツチの口から聞かされたのは新たな人造惑星たちの製造コンセプトだった。
自分、錬金術師の失敗に基づいて今度は聖戦においての戦闘に特化させるべく、素体そのものの攻撃性に重きを置いた人造惑星を制作する。
ドリスからすれば、特段興味をひく話題では無かったが、その際の紹介された素体についてドリスは目を見開いた。

「アマツの令嬢?どうして……」

聖教国出身の連続殺人鬼はともかく、アマツの令嬢などを素体として攻撃性が引き出せるのか。
いや、目の前の原初の魔星たるカグツチが厳選した素体であることは間違いないものの、自分と同様に聖戦の役に立たない失敗作とならないかとドリスは眉を寄せた。

「攻撃性ならば問題ない、奴は俺を怨んでいるからな」

いつから居たのか、今来たのか、部屋に響いた声にドリスの胸は高なった。
振り返りその姿を視界に納めただけで急速に瞳孔が開いていくのが分かる。
あたり一面が一気に明るくなった錯覚さえして、激しくなる動悸を押さえながら ヴァルゼライドを見つめた。

「ヴァルゼライド大佐っ、今日はお仕事は落ち着かれたのですか?」
「……お前に構う暇はない。カグツチ、2体の調子についての説明を」
「順調だ。2体ともにコンセプト通りの反応を見せている」

ヴァルゼライドはドリスを歯牙にもかけず、普段通りの厳格な口調で無駄なく説明を求めた。
説明の内容は常に数値を元にした科学的なものであり、自分自身にも施された術式なのではあるが、ドリスにとって理解の及ぶ範囲の説明ではなかった。
分かったこととして、マルス-No.ε、と名付けられた方は完全な殺戮兵器として物質破壊に重きを置き、人間としての見た目さえ損なうことを構わず外骨格含め、様々な身体強化を行ったということと、ウラヌス-No.ζ、と名付けられた方はヴァルゼライドと因縁のある女であるということ。
ドリスにとって、最も重要なのはそのヴァルゼライドとの因縁であった。

「ヴァルゼライド大佐、因縁……て、どういうものなんですか?」
「お前が知る必要は無い」

あくまでもヴァルゼライドの反応は正しく、そして無機的だ。
それ自体はどうでもいい。
ヴァルゼライドの反応など最初からドリスにとって重要ではないし、よしんばヴァルゼライドがそのウラヌス-No.ζとやらを愛していたところでドリスは気にしない。
ドリスの案じていることというのはただ一つ、ウラヌス-No.ζがヴァルゼライドを愛している──恋敵ではないか、ということだ。


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